子どもに伝わる上手な叱り方
執筆者:熊野貴文(幼児教室ひまわり塾長)
最終更新日 2022年10月02日
自分の子どもの叱り方が正しいのかと思うことはないでしょうか。
今の叱り方で子どもはきちんと理解できているのだろうか、心に届いているのだろうかと悩まれる親御さんはたくさんいます。
もしかすると今やっている叱り方では逆効果になっている可能性もありますよね。
こちらのページでは、子どもの叱り方について悩まれる親御さんのために、子どもにきちんと伝えるための上手な子どもの叱り方や「怒る」との違いなどについて紹介します。
子どもの叱り方について考える
子どもを叱るにはどのような叱り方をすればいいのか。
正しい叱り方を知る前に、まずは「叱る」ことについて深掘りしていきましょう。
なぜ叱る?叱る意味とは
子どもを叱るという行為には、子どもに過ちを繰り返させないために正しい行動へ導くという意味があります。
約束やルールを守ること、自分や誰かを傷つけるようなことをしたりやったりしてはいけないこと。
親にとっては当たり前のことでも、子どものためを思うのであれば一つひとつ、丁寧に教えていく必要があるのです。
しかし親が子どもへの叱り方をわかっていない・身についていない状態では、叱っても聞く耳を持たないわが子にイライラし、つい感情的になってしまったり、叱りすぎてしまったのではと自己嫌悪に陥ったりしてしまうことも出てくるでしょう。
そのようなことが起こる背景には、「叱る」と「怒る」が混在してしまっていることが考えられます。
「叱る」と「怒る」の違いとは
「叱る」と「怒る」、似ている言葉のように感じますが、2つには大きな違いがあります。
前者は論理的なものであり、後者は感情的なものであると考えれば違いがわかりやすくなるでしょう。
「叱る」ことには、相手を思い正解へと導く意味があるとお話しました。
これに対し「怒る」は、子どもが約束を破らない、思い通りに行動してくれないなどで腹が立った感情をぶつけてしまうことを意味します。
感情的になってしまうと、親の思いは子どもには伝わらず一方通行になってしまいかねません。
そうなると、子どもたちは何をどう理解していいかわからなくなってしまうでしょう。
その結果、何度注意しても子どもたちは同じことを繰り返してしまうのかもしれません。
【参考情報】規範意識を育む ほめ方・叱り方
子どもの心を育てる5つの上手な叱り方
子どもが明確に「叱られた」「怒られた」と区別をつけることは難しいことでしょう。
しかし伝え方ひとつで伝わり方・受け取り方は変わるもの。
そこで必要となるのは「上手な叱り方」です。
上手な叱り方1:叱る理由を明確にする
子どもを叱るときは、なぜ叱っているのかをわかるように明確に伝えることを意識してください。叱る理由を曖昧にしないことが上手な叱り方のポイントです。
子どもたちは叱られたことに驚いたりショックを受けたりしているので、なぜ叱られているかについてまでは思い至らないことが多いのです。
また、理由も聞かされず頭ごなしに注意されると、子どもたちは反抗的になってしまうかもしれません。
そのせいで聞く耳を持ってくれなくなれば同じことが繰り返されることも必至です。
それに叱られる理由がわからなければ改善すべき点もわからないでしょう。
だからこそ正しい叱り方としては、叱る理由を丁寧に説明することからはじめてください。
面倒かもしれませんが、その場できちんと説明し、子どもを納得させることで問題行動の改善や子ども自身の成長が伺えるでしょう。
上手な叱り方2:言葉の使い方に気をつける
上手に叱る場合、どのような言葉を使うかも重要な要素となります。
「お父さんにいうよ」とか「おばけがくるよ」などといった脅す要素を含んだ叱り方はNGです。その場では効果があるかもしれませんが、あくまでもその場限り。根本的な解決には至らない可能性が高くなりますので避けるようにしましょう。
注意やアドバイスがブレないようにすることも大切です。
叱られるたびに親の言うことがコロコロ変わってしまったら、子どもは反省どころか混乱をきたします。
下手をすると親に不信感を抱いてしまう可能性も出てくるでしょう。
説得力にも欠けますので、叱る理由やアドバイスは、常に一貫性をもたせるよう意識してください。
子どもの人格を否定するような言葉も避けてください。
感情的になり暴言を吐いてしまう、子どもの人格を否定するような言葉や「そんなことをする子だとは思わなかった」など存在そのものを否定してしまうと、子どもの自己肯定感を下げてしまいかねません。
上手な叱り方3:叱るときは手短にする
子どもへの注意をはじめると、ついつい時間が長くなってしまうこともありますよね。
叱っている方も着地点がわからなくなり、長々となってしまうケースは珍しいことではありません。
しかし長時間叱ったところで、子どもの集中力はかなり早い段階で途切れてしまいますので、無意味に終わってしまいかねません。
また話が長くなれば長くなるほど、何に叱られているのか、何が悪かったのかの本質がわからなくなる可能性もあります。
叱るときは、理由の説明を含めてできるだけ簡潔に、手短にわかりやすく伝えるようにするといいでしょう。
上手な叱り方4:叱る理由は1つにする
叱っているうちにアレもコレもと言いたいことが出てくることもあるでしょう。
しかし子どもにきちんと理由を伝えるためには、話を広げずに叱る理由を1つに絞るようにしてください。
叱られる理由が多すぎると、子ども自身もどこにポイントを置いて聞けばいいのかわからなくなってしまいます。
叱られている原因が多すぎるので、何をどう直して反省すればいいのか混乱してしまうのでしょう。
同じことを繰り返しやってしまったとしても、前回のことを引き合いには出さないようにしてください。
今目の前にある事実や問題、叱られる理由をピンポイントで叱ったほうが、子どもにも伝わりやすくなるはずです。
上手な叱り方5:叱るときは目を見るなどのスキンシップを
子どもを叱る際は、必ずしっかりと子どもの目を見て話をするように意識してください。
忙しいからと他のことをしながら叱ったとしても、子どもの心には決して響かないでしょう。
むしろお子さんも何かをしながら適当に聞き流す可能性も出てきます。
しっかり目を見ると言っても、見下すようなやり方では高圧的すぎます。
子どもの目線まで降りてから話をはじめるようにしてください。
視線を合わせて話すことで、お互いの気持や感情を汲み取りやすくなります。
このような目と目を合わせて話をする行為はスキンシップのひとつとも言われていますので、叱るだけでなく親子の会話の際には積極的に取り入れていくといいでしょう。
どうしても目線を合わせられない子の場合は、体のどこかに触れながら話をすることもオススメです。
スキンシップを試みながら、言葉以外からも子どもに訴えかける話し方、叱り方を目指しましょう。
上手な子どもの叱り方を習得すれば子どもは成長する
子どもの叱り方は本当に難しいと思います。
ついつい感情に任せて怒ってしまいたくなるところを、ぐっとこらえて叱らなければならないため、親にも忍耐力などが求められます。
だからこそ上手な叱り方を習得し、親子で成長していきたいものです。
叱られる子どもは、親の言葉のチョイスひとつで受け取り方が変化します。
ですから、親は怒るのではなく叱るのだと強く意識し、子ども目線で気持ちや考えを肯定しながら、しっかりと正しい方向へ導いていきましょう。
子どもを叱る理由はさまざまで、叱り方も子どもの性格やタイプなどに合わせて変化させる必要があります。
今回紹介した5つの子どもの上手な叱り方は、どのようなお子さんにも対応できる共通の叱り方ばかりですのでぜひ参考にしてみてください。
もし子どもが問題点を改善したり、改善しようとしていたりしたら、存分に褒めてあげましょう。
完璧でなくても構いませんし失敗しても構いません。
改善しようとした気持ちを褒めてあげることも大切です。そうすることで子どもは親から愛されていることを実感し、新たな成長を遂げていくでしょう。
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