普通の親も毒親になってしまう中学受験の怖さ。毒親にならないために注意したい3つのこと
執筆者:熊野貴文(幼児教室ひまわり塾長)
最終更新日 2023年06月27日
わが子に中学受験をさせたいと考えているご家庭の多くは、間違いなく教育熱心な方ばかりです。しかしその熱心さがあだとなり、毒親を生み出してしまうこともあるようです。
中学受験を控えるわが子のために悪戦苦闘し翻弄される親は、なぜ毒親になってしまうのでしょう。
毒親にならないためには、どのようなことに気をつければいいのか。
こちらのページでは中学受験における毒親について詳しく解説します。
中学受験の魔物が毒親を生み出す
親の心子知らずという言葉があるように、親がどれほど懸命にサポートをしても、子どもからの手応えのない状態が続くこともあるのです。
子どもにやる気が見られなかったり成績がアップしなかったりなどが続くと、親は少しずつ冷静さを欠き、異常さを露呈しはじめます。
子どもへの苛立ちが募れば募るほど、その異常さはヒートアップし加速します。
気がつけばただ注意していただけのつもりが、声を荒らげて暴言をはいてしまったり、手が出てしまったりすることも。
その都度、自分の言動に驚きを隠せないなんてことも出てきそうです。
冷静に判断ができなくなるほどの魔物が中学受験には潜んでいます。
油断すると、あっという間に深みに引きずり込まれ、毒親・教育虐待などが生まれてしまいます。
自分が毒親にならないためには、中学受験に対する毒親の言動がどのようなものなのかを知っておく必要がありそうです。
毒親とは
毒親とは、子どもに悪い影響を与える親のことを指します。
児童虐待に該当する行為(身体的虐待・性的虐待・ネグレクト・心理的虐待など)で子どもを傷つけたり、干渉・束縛・抑圧・依存などによって、子どもの自立をさまたげたりするような親も毒親に含まれます。
【参考情報】児童虐待の定義
【関連記事】親のエゴがもたらすお受験の危険性とそれを回避する4つの対策
中学受験における毒親を定義するとすれば、暴力で子どもを支配しようとする「身体的虐待」や、言葉の暴力による「心理的虐待」などがわかりやすい例となるでしょう。
子どものためを思って発した言葉や行動も、限度を超えてしまうと児童虐待となり、子どもに悪い影響を与えてしまうのです。
教育虐待とは
教育虐待とは、親から子への行きすぎた教育やしつけのことを意味します。
子どもが望んでいないのに勉強や習い事を強制的にやらせる、結果が出ない・成績が下がったなどの理由により、過剰に怒ったり非難したりを繰り返す。
きょうだいや周囲の人間ととかく比較をし、扱いに差をつける行為なども教育虐待に含まれます。
中学受験などで毒親になってしまう理由には、親の無自覚が問題視されています。
子どものためと思ってよかれと思いやっていることが教育虐待になっていることも珍しくないからです。
また教育虐待には、子どもの日常行動や精神面に、他者が見てわかるほどの異変が現れるまで発覚されないことも問題視されています。
中学受験において毒親にならないために注意したい3つのこと
中学受験で毒親になってしまう危険性にはさまざまな要素があります。
そのなかから注意したい3つの言動について紹介しましょう。
「あなたのため」は誰のため?
いい学校へ行かせたい、いい教育を受けさせたい、そのためには今よりももっと勉強してレベルの高い学校を目指さなくてはならない。
これらすべてを「あなたのため」という言葉で子どもにぶつけてしまってはいないでしょうか。
そこに子どもの気持ちや意思は存在していますか?
中学受験において毒親になってしまう可能性の高い親が「あなたのため」と言うときは、往々にして「あなたはわかっていないから、親である私が決めます」という意味合いをもっています。
そうなってしまうと、子どもがどのような思いをもっていても、その意思に反した「あなたのため」が押し通されてしまうのです。
否定する・決めつけるような言葉は禍根を残す
「あなたは〇〇だからダメなのよ」とか「〇〇はできないでしょ?」などと子どもに対し決めつけたような言葉がけをしていないでしょうか。
このような言葉がけも毒親としての要素をはらんでいるので注意が必要です。
これらの言葉は、呪いの言葉となり、子どもの心の中にくさびを打ち込みます。
くり返し言われることで自己肯定感を下げ、自分では何もできない・考えられない子どもになってしまう可能性もあります。
厳しい言葉だけで子どもの心は育たない
やる気がなさそうなわが子を見ていて、イライラしてつい声を荒らげてしまうことがあるかもしれません。
また厳しい言葉を投げかけることで、悔しさをバネに立ち上がってほしいと考えることもあるでしょう。
しかし親からのそのような言動は、子どもの心を閉ざしてしまう可能性があります。
厳しい言葉や態度を繰り返していくことで、子どもは恐怖心や親に嫌われたくないという思いが募り、親の望む自分でいようと努力します。
子どもの頑張りや成長を認め、ときには労い、ときには褒める。
そうすることで子どもの心が育っていくことを忘れないでください。
【参考情報】毒親と子どもたち
【関連記事】中学受験に成功する子の母親は、何を心がけているか?
完璧を求めず、冷静さを失ったら初心に帰る
中学受験が佳境を迎えれば迎えるほど、親から子への干渉は激しくなり、子どもに完璧さを求めてしまいがちです。
子どもに無理難題な完璧さを強いるほど、中学受験の魔物は親から冷静さを奪ってしまいます。
冷静さを失い、子どもに完璧を求めすぎるようになっているときは自分を見失っている状態です。
このような状態に陥ったら、一度初心に帰り「なぜ中学受験をすることにしたのか」を思い出してください。そして、誰のために中学受験をするのかも考えてみるといいでしょう。
高い偏差値・レベルの中学校に合格することだけが目的だったのでしょうか。
子どもの可能性や将来への選択肢を広めるために受験を決意したのではないでしょうか。
もしかすると、子どもの希望する進路が中学受験だったのかもしれません。
ままならない現実に強引に立ち向かおうとせず、最初に思い描いたゴール地点へ近づくにはどうすればいいかを考えることからはじめてみましょう。
子どもともしっかり向き合い、お互いの意思を確認しすり合わせていきながら軌道修正をしていく。
そうすることで、子どもの足を引っ張るような毒親ではなく、子どもを愛する親としてリスタートできるはずです。
【参考情報】子育てのあり方と親子関係
【関連記事】中学受験には習い事が障害になるのか?我が子が灘中学に合格した親の考え方
中学受験で毒親になりそうになっても軌道修正はできる
わが子への愛情が深く、子どものためにできる限りのことをしてやりたいという使命感に燃える。
子どもを正しく導きたいと思えば思うほど、完璧さを求め懸命になってしまう。
そこまで教育熱心で子どもに対する愛情が深いことは、本当に素晴らしいことだと思います。
しかし過度な干渉や愛情は、毒として子どもたちの足を引っ張ることになりかねません。
親ができることなんてたかがしれていると知ること、初心を忘れないこと、この2つをしっかりと意識しながら子どものサポート役に徹していれば、何かあってもすぐに軌道修正ができるはずです。
中学受験に対し、親も子どもも常に不安や焦りがあることでしょう。
そのような感情を払拭するために、怒りや過度な支配・管理に走るのではなく、常に子どもの気持ちに寄り添ったサポートを目指していきましょう。
それが中学受験に対する成功への一歩となり、円満な親子関係の継続にもつながっていくはずです。
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