親のエゴがもたらすお受験の危険性とそれを回避する4つの対策
執筆者:熊野貴文(幼児教室ひまわり塾長)
最終更新日 2023年06月26日
子どもの将来を案じ、少しでもいい学校へ行かせてやりたい。
そのように思うのは子どもを思う親心であって、何ひとつ悪いことではありません。
しかし、子どもの思いや希望をないがしろにし、親の思いや気持ちばかりが優先されてしまうと、それは親のエゴでしかありません。
その受験は本当に子どものためのものでしょうか。
親のエゴの上に成り立つようなことになっていませんか?
こちらのページでは、親のエゴが受験を子ども不在の「お受験」にしてしまう危険性や、解決策についてなどを詳しく解説します。
中学受験を親のエゴで「お受験」にしてしまっていませんか?
親の関与やエゴが大きすぎると、子どもの意思がまったく見当たらず、中学受験ではなく、子ども不在で親だけの「お受験」になってしまいます。
もしかすると子ども自身は中学受験なんてしたくないと考えているかもしれません。
本当は別に行きたい学校があるのに、親の顔色を伺ってガマンしているのかもしれません。
そうなってしまうと、子どもの心の成長に影を落とす可能性があります。
最悪の場合、親子関係にも悪影響を及ぼす危険性もあるのです。
そうならないためには、親のエゴだけで受験を進めていかないようにすることが大切です。
受験について親子で常にしっかり話し合い、意思や気持ちの確認を怠らないようにしていきましょう。
私が中学受験勉強をしていた頃を思い返すと、私の両親にエゴを感じたことはありませんでした。
とにかく私の気持ちが良くなるようなことをサポートしてくれた記憶があります。
多くの子どもに共通するのが、本当は勉強が好きだということです。
問題が解けたら楽しいですし、成績が上がったら嬉しいものです。
私の親は、私の勉強の成績が良くなるようなサポートをしてくれたので、
私も特に勉強が苦にならず、おかげで成績も上がり、気持ちよく勉強できるようになっていました。
そうすれば、自然と私自身、「もっと上を目指したい」という気持ちが芽生えてきます。
親に言われるのではなく、子ども自ら勉強するようになります。
このような親子の関係性になると、親のエゴは関係なくなりますよね。
これらを踏まえて、親御さんが実践すべきことを解説していきます。
【参考情報】親からの期待と青年の完全主義傾向との関連
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「お受験」にしてしまう3つの親のエゴ
子どもの受験を、子どもが関与しない「お受験」にしてしまう問題の背景には、親のエゴが強く影響しています。
しかし親のエゴと言われても、どのような言動が親のエゴにつながるのかわかりにくいかもしれません。
そこでここでは中学受験をお受験にしてしまうような親のエゴを3つ紹介しましょう。
見栄をはりたい
わが子のためではなく、周囲にわが子ができのいい子どもであることを知らしめたいという願望が強いと、親の見栄のために受験に挑むことになりかねません。
子どもが将来のため、やりたいことのためと受験する学校を選んでも、聞く耳を持たないような状況になっていないでしょうか。
子どもは親が見栄を張るためのアクセサリーでないことを、しっかりわきまえておきましょう。
志望校至上主義
誰もが憧れる学校や、偏差値が高い難関校こそが一番だ。
そのように思いこんでしまっている親も要注意です。
このようなタイプの親御さんは、たとえ子ども自身が行きたい学校を見つけてきてもまったく耳を貸しません。
親が決めた志望校より少しでも偏差値などが劣るようであれば、耳を貸さないどころか、どのような手を使ってでも子どもに諦めさせようとするでしょう。
ひどい場合は、合格判定が低い状態でもなんとしても受験させようと挑む親御さんもいます。
親の代わりに夢を叶えてもらいたい
自分が叶えられなかった夢を子どもに託す親御さんも要注意です。
子どもには子どもの人生があり、親が叶えられなかった夢を叶える代理人ではないことが理解できないのでしょう。
子ども自身が、親の叶えられなかった夢を受け継ぐことに納得いっているのであれば問題ありません。
しかし、子どもの夢や意思を奪ってまで、自分の果たせなかった夢を実現してもらおうなどと思うことは大変危険なことで、親のエゴにしかならないのです。
【関連記事】中学受験に成功する子の母親は、何を心がけているか?
親のエゴで「お受験」にしてしまったらどうなる?
経済的な自立ができない子どもたちに、最終的な決定権はありません。
どれだけ親のエゴに打ち勝とうと努力をしても、最終的には親の決定に従うしかないのです。
このような状況で受験をしたら、子どもたちはどうなってしまうのでしょう。
親が望む学校に合格できても、行きたくないと考えるかもしれません。
行きたくない学校を受験させられ、通わないといけない現実を受け入れられず、親を恨んだり心が壊れてしまったりする可能性もあります。
新しい環境でいい仲間や先生に出会えれば結果オーライですが、馴染めなかった場合、荒れたり不登校になってしまったりすることも起こりえます。
合格判定がギリギリで合格した場合などでは、合格はできたものの周囲の学力についていけず、成績がどんどん下降してしまうケースもあるようです。
このようなかわいそうな子どもたちを生み出さないためには、子どもの気持ちにしっかりと寄り添い、親のエゴだけで受験を進めていかないことが重要となるでしょう。
【関連記事】中学受験がしんどいと感じた時に、親子で考えてほしい3つのこと
親のエゴで受験を「お受験」にしない4つのポイント
親のエゴで受験を「お受験」にしないための、4つのポイントについて紹介します。
1.子どもとしっかりと向き合う
親のエゴだけで進む「お受験」にしないためには、子どもありきで受験に挑む姿勢が重要です。
合格後、親も子も後悔しないためには、事前にしっかり親子で受験に対し向き合い、同じ方向を見て挑んでいくようにしましょう。
親の希望と子どもの希望が合致しない場合も、押しつけるのではなく、両者譲り合いながら落とし所を探すようにしてください。
2.定期的に意思疎通のアップデートをおこなう
大人でも子どもでも、気持ちや考え方は時間の経過とともに変化するものだと覚えておきましょう。
学力や特性・学校に対するイメージの差異など、検討の余地がある場合は随時親子で意思疎通を試みてください。
定期的に意思疎通のアップデートをおこなうことで、意思疎通ができないことで起こる不要なトラブルも回避できるでしょう。
3.第三者の意見にも耳を貸す
父母の熱量が高すぎるあまりに、周囲のアドバイスに耳を傾けることなく、自分たちのエゴを押し通してしまう可能性があります。
そのような状態を回避するためには、学校や塾の先生、祖父母や友人・知人の声にも積極的に耳を貸すようにしてみてください。
困ったり悩んだりしたときも遠慮なく周囲に相談できるような環境づくりをしておくことも大切です。
4.入学後の子どもの姿を想像して志望校を選ぶ
成績的に厳しいとか、学校生活が子どもの性格や特性にあっていない場合などは、志望校をフレキシブルに検討しなおすことも必要です。
合格はゴールではなくスタート地点ですから、入ったあとのことも事前に調べておきましょう。
親のエゴを出さないためには、志望校に対しこだわりを持ちすぎないよう、視野を広くもつことがポイントです。
【参考情報】子育てのあり方と親子関係
【関連記事】中学受験で親がすること。親のサポート内容とは?
親のエゴなお受験は「百害あって一利なし」
中学受験はどうしても親の考えが優先され、子どもの意思が後回しになってしまうこともあるでしょう。
子どもによっては、自発的に調べたり考えたりできない子もいますので、そのような場合は、親が主体になって受験を進めていかなければならないこともあります。
当教室で指導をしてきた子どもたちの中にも、そういった子をたくさん見てきました。
しかし、受験を「お受験」にしてしまうことと、親がリードしていくことは話が異なります。
子どもの気持ちや希望を一切無視して、親の希望や気持ちだけを押しつけることが親のエゴとなり、子ども不在の「お受験」にしてしまうのです。
子どもにはわからないと考えず、親もしっかりと自分たちの思いや考えを子どもたちに伝えるようにするだけでも、親のエゴによる受験は防げます。
言わなくても通じるなんてことはありませんので、いい受験にするためにも、しっかりと親子で話し合い、一緒に進んでいきましょう。
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