子どもの運動能力を高める方法
執筆者:熊野貴文(幼児教室ひまわり塾長)
最終更新日 2023年07月28日
運動能力が高い子と低い子にはどのような違いがあるのでしょう。
保護者の方が運動は得意でない場合、わが子の運動能力が低いと「遺伝のせいかもしれない」と考えてしまうかもしれません。
しかし兄弟同じ環境に育っても、得手不得手があるように、もしかすると遺伝の影響は関係がないのかもしれません。
こちらのページでは、運動能力とは何かについて、そして、遺伝との関連性や運動能力を高める方法についてご紹介します。
運動能力について
運動能力とはいったいどのようなことを意味するのでしょうか?
親から遺伝した運動をするための能力だけを指すのか、後天的に発展させていける能力を指すのか、わかりにくい部分もあります。
まずは運動能力とはなにかについて考えてみましょう。
運動能力とは?
運動能力とはどのような能力を指しているのでしょう。
実は運動能力とは、持って生まれた資質的な能力ではなく、走ったり飛んだり、投げたり泳いだりなどの運動を行うための技術的な能力を意味しています。
似たような言葉に「身体能力」があり、こちらは運動能力と意味を混同されがちですが、この2つは対になる存在だと考えておくといいでしょう。
身体能力こそ持って生まれた資質の部分が大きくなります。
つまり、身体能力を生かすためには運動能力が不可欠となるのです。
運動能力は遺伝する?
運動能力はもって生まれた資質ではないと考えると、自ずと運動能力と遺伝は密接に関係していないことがわかります。
もちろんまったく遺伝が関係しないというわけではありませんが、大半が繰り返しトレーニングを積むことで克服が可能なのです。
得手不得手があることを、運動能力がないからだと思いこむことがもっとも危険なのかもしれません。
遺伝的要素よりも、子どもの性格や個性、置かれている環境などのほうが強く影響を与えます。
同じ環境で育ったきょうだいでも、得手不得手が異なるように、やり方・取り組み方次第で運動能力を高めることは可能になるでしょう。
【参考情報】「マット・鉄棒・跳び箱」体験講座〜体育編〜
【関連記事】子どもが朝ごはんを食べない!?食べるメリットや対処法も解説
子どもの運動能力を高めるには
子どもの運動能力は遺伝的要素より、環境的要素が強く影響することがわかりました。
ここからは具体的に子どもの運動能力を高めることについてお話していきましょう。
子どもの運動能力の高さ・低さは環境が作る
子どもには運動能力・運動神経、感覚などの神経系の成長が著しくなる時期があり、一般的に0〜12歳までの幼少期を指し、「ゴールデンエイジ期」と呼ばれています。
ゴールデンエイジ期にたくさん体を動かすことで、運動能力を高められる可能性がアップします。
ゴールデンエイジ期に習得した運動は、将来的に維持しやすいとも考えられているようです。
ぜひお子さんがゴールデンエイジ期のうちに、さまざまな運動ができる環境づくりを目指していきましょう。そのための環境づくりが今後の成長に大きな鍵を握るのです。
遊びの中で育む運動能力
人間の基本的な動作は以下のようなものがあげられます。
■体のバランスを取る
立つ・座る・寝転ぶ・起きる・回る・転がる・渡る・ぶら下がる
■体を移動させる
歩く・止まる・走る・跳ねる・跳ぶ・登る・下りる・這う・よける・すべる
■道具などを操作する
もつ・運ぶ・投げる・捕る・打つ・転がす・蹴る・積む・こぐ・掘る・つかむ・押す・引く
これらの能力はすべて幼少期の遊びや日常生活の中で育めます。
難しく考えず、遊びのなかで楽しく子どもの運動能力を高めていきましょう。
【関連記事】メンタルが強い子、弱い子の特徴とは?折れない心を育むメンタルケア
運動能力を育む3つの遊び
スポーツ系の習い事などをすることで、運動能力を高めることは可能です。
しかしゴールデンエイジ期の子どもたちは、簡単な遊びのなかからも十分運動能力を高められます。
1人でできる遊びや、親子・友だちと一緒にできる遊びなど、身近な遊びのなかから、運動能力を高めるためにオススメな遊びを3つ紹介します。
運動能力を育む遊び「鬼ごっこ」
子どもたちが喜ぶ上に簡単にできる遊びとしてオススメなのは「鬼ごっこ」です。
鬼ごっこには「走る」「止まる」「よける」など、多くの基本動作が含まれているのです。
文部科学省が公開している「幼児期運動指針ガイドブック 」でも鬼ごっこは多様な動きを総合的に経験できる遊びとして紹介されています。
運動能力を高めるだけでなく、鬼ごっこは人と人とをつなぐコミュニケーション能力の向上にもよい影響を与えます。みんなで協力しあって鬼から逃げたり、鬼の呼吸を読み取ってかわしたりするなども、運動能力を高めるだけでない相乗効果を生み、多くの経験を獲得できるでしょう。
運動能力を育む遊び「なわとび」
バランス感覚やリズム感など、1度にさまざまな感覚が必要となる「なわとび」も運動能力向上に適した遊びです。
なわとびの素晴らしい点は、跳ぶという動作に加え、なわを握る・回すという複数の動作を一度に行うところです。
なわを回すスピードや飛び跳ねるタイミングや着地のタイミング、ジャンプの高さなど。
なわとびはさまざまな要素が複雑に絡み合ってはじめて完成するので、コツが掴めるようになるまでゆっくり焦らずに練習していきましょう。
運動能力を育む遊び「ボール遊び」
ボール遊びは、「投げる」「つかむ」「蹴る」「もつ」「運ぶ」「打つ」「捕る」「押す」「引く」といった、多くの基本的動作が含まれています。
最初はやわらかい大きめのボールを使用し、短い距離でゆっくりと投げる・受けるの動作を繰り返し、少しずつスピードや力加減を変化させていきましょう。
野球のボールやゴムボール、ドッチボールなど、さまざまな種類のボールを使うことでも感覚を鍛え、基本動作を習得しやすくなるでしょう。
飛んできたボールを手で「打つ」、足で蹴ってみたり止めてみたりする、遠くに投げるなども取り入れていけば、バランスよく運動能力の基本動作を獲得していけます。
【参考情報】1 幼児を取り巻く社会の現状と課題(文部科学省)
【関連記事】子供に人気の外遊び10選!道具なしの遊びやおすすめのおもちゃもご紹介
運動能力を育む3つのオススメ遊具
特別な器具や施設へ行かなくても、幼稚園や小学校、近くの公園などにある遊具でも運動能力が高められます。
どのような遊具を使えばいいのかを知るために、オススメ遊具を3つ紹介します。
運動能力を高めるオススメ遊具「ブランコ」
子どもたちが大好きなブランコでも運動能力向上が可能です。
ブランコ遊びには、チェーンを「握る」動作や、足の力で「蹴る」などの動作が含まれています。また全身を使って「こぐ」動作も必要ですので、全身運動としてもオススメです。
ブランコを練習していくことで、運動能力向上だけではなく、体力や持久力アップにも期待できるでしょう。
バランス感覚を養える「立ちこぎ」もオススメですが、難易度が高いことと安全面への十分な配慮が必要となりますので要注意です。
運動能力を高めるオススメ遊具「ジャングルジム」
手や足、全身を使って「登る」「下りる」ができるジャングルジムやボルタリングのような遊具もオススメです。
手で柵を握る動作は「もつ」「つかむ」に通じる動作となるでしょう。
ジャングルジムなどの細い柵を登るには、バランス感覚や、どうやって登ればいいか頭の中でルートを考える思考力が必要となります。
体を動かす動作と、脳を動かす動作が一度にできるのでオススメです。
運動能力を高めるオススメ遊具「うんてい」
棒にぶら下がり、全身の力を使って移動する「うんてい」。
自らの体重を支える腕力や握る力、移動の瞬間のバランス感覚やタイミングを図る力などが鍛えられる遊具です。
一見、腕力や握力だけが注目される遊具に感じるかもしれませんが、移動の瞬間は体や足を振り子のように揺らすなどすることから、全身運動としても効果が高い遊具です。
次の棒に移るための距離を、感覚や目視で図ることで、空間認識能力も養えます。
【関連記事】子どもの自己効力感を高めるには?
子どもの運動能力は経験や環境で高められる
子どもの運動能力の高さや低さ。
ついつい保護者の能力が遺伝してしまっていると諦めてしまいがちです。
しかし0〜12歳の「ゴールデンエイジ」の期間であれば、環境を整えてやるだけで運動能力は格段に向上します。
子どもの運動能力が低くなってしまう一因には、できないことばかりに目を向けてしまい、運動能力が低いとレッテルを張ってしまうことも含まれるのではないでしょうか。
保護者が遺伝のせいだと諦めてしまうことは、子どもの可能性を狭めてしまう可能性があります。
何かを習得するスピードは、子どもによってさまざまです。
同じことをするにしても、すぐにできる子もいれば、習得に時間がかかる子もいます。
しかしどのようなことでも未経験でなんでもできる子は存在しませんので、運動能力を高めるための環境づくりや、体を動かすための経験がたくさん積めるよう、保護者がサポートしてあげるといいでしょう。
幼児教室ひまわりでは、お子さまの脳を鍛える具体的な方法や難関中学に合格するための勉強法などを、オンライン講座やメールマガジンで公開しています。
もっと深く学びたいという方は、ぜひ私たちのメールマガジンにご登録ください。