詰め込み教育の弊害|子供らしさを奪うって本当?

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詰め込み教育は子供らしさを奪う?

執筆者:熊野貴文(幼児教室ひまわり塾長)

最終更新日 2022年10月02日

「子どもに早くから勉強させると何か弊害があるのでは?」と心配される親御さんがいらっしゃいます。
私は早くから勉強を始め、灘中学に合格し、大阪大学医学部に現役合格しました。
そこでこちらのページでは、私の経験と、幼児教室ひまわり塾長として1万人以上の保護者を見てきた経験をもとに、詰め込み教育について解説いたします。

小さな子供の育て方の価値観は多種多用ですが、一番大きな分岐点となるのは、

・勉強をどんどんさせるか?
・小さな頃はあまり勉強させないか?

という部分だと思います。

私は子供に早くから勉強させることを推奨しているのですが、私と対極のお考えの方も数多くおられます。

一言でいうと、「詰め込み教育をすると、その弊害として子供らしさが失われるのでは?」という恐れを抱いておられます。

私の教室に通っておられる方は、「子供の頃からある程度勉強させた方が良い」という方針の方が大半なので、わざわざこの価値観に関して協議する必要はないと思いますが、

それでもやはり、

「私は教育熱心すぎるんじゃないか、弊害が起こって子供らしさが失われたらマズいんじゃないかな・・・」

こんな正体不明の不安に襲われることも時にはあると思います。

この不安を解消するための答えは、『子供らしさとは何か?』ということを深く理解し、客観的に把握することです。

正体が見えてしまえば不安も消えていきますからね。

子供らしさということに関して理解して頂くヒントとして、まずは私のエピソードからご紹介したいと思います。
つまらない私ごとに、ちょっとだけお付き合いください。


アラフォーの子供
詰め込み2

私はアラフォーの大人なのですが、よく人から言われるのは、「あんた、子供みたいだね」という誉め言葉(?)です。
20代の後半くらいから頻繁に言われるようになりました。

たとえば、私はここ最近ボーカルを習い始めたんですね。

コーチと話し合っているときに、「熊野さんどのコースにしますか?」と聞かれた時に、

「そうですね、このプロを目指すコースにチャレンジしてみたいですね。」

と答えたのですが、苦笑されてしまいました。

なぜなら、私は全くの初心者なのでプロはあり得ないからです。

今の年齢からなら、「カラオケで上手くなる」というレベルが関の山なんですね。

でも、私はどうせやるのであれば、自分のCDを販売してみたり、大人数の前で歌ってみたりしてみたいんです。
(自分にはそれができると本気で思っているんです。)

この話を周囲の人にすると、「そりゃ、さすがに無理でしょ。子供じゃあるまいし・・・」と言われるんですね。

まあ、周囲の人の考え方が普通だと思いますし、私が子供なんだと思っています。


また、私は将棋が趣味で、プロに指導を受けています。

その先生に依頼するときも、「僕は今は7級くらいですけど、結構思考力や判断力があるのですぐに初段くらいにはなれる自信があります。」と言っていたようです。

この時のことを自分では覚えていないのですが、将棋の師匠は、「この人、妙に自信家やなあ・・・変わった人だね」という印象を覚えたそうです。

私が逆の立場であったとしてもそう感じると思います。(汗)


私にはこういう部分があるので、よく子供っぽいと言われるのだと自己分析しています。


さて、私が子供っぽいと多くの方が感じているのですが、一体どういう要素がそう感じさせるのでしょうか?

また、なぜ多くの大人たちは子供らしくないのでしょうか?

ここを深く考察していくことで、「子供らしさとは何か?」という本質が見えていきます。


子供らしさの4要素
詰め込み3

これは私の個人的な意見ですが、「子供らしさ」というのは次の4つの要素だと思っています。

簡単に説明しますね。

たとえば、2番について。

子供は愛想笑いもしませんし、気持ちを隠して駆け引きしたりもしませんよね。
怒りや嫉妬、不安、羨望など、大人が心の底に隠してしまうような「少しやましい感情」も平気で親に伝えてきますからね。

4番に関しては、これは子供の可愛さでもあります。

子供は小さな虫でずっと遊んだり、お絵かきで楽しんだりなど・・・些細なことに喜びを得られます。

大人から見ると、「こんなもので楽しめるなんて本当に幸せだな」と微笑ましく感じます。

大人になるたびに世界が広がり、刺激的な体験が増えてきます。
そのため、些細なことに喜びを見いだせなくなっていくんですね。

この4つの要素に関して、言われたらあたり前なのですが、客観的に考えてみる機会はほとんどないと思います。

そして、このように分析すると、冒頭でご紹介したような、

「私は教育熱心すぎるんじゃないか、子供らしさが失われたらマズいんじゃないかな・・・」

という不安に対しても冷静な判断を下せるようになれます。


なぜ、子供らしさを失う?
詰め込み4

私は少し意地悪な部分があるので、

「教育をしすぎると、子供らしさが失われる・・・。それは詰め込み教育の弊害だ」

こんなことを言っている人に、2つの質問をしたいと思います。

1つめの質問は、「子供らしさとはなんですか?」という質問です。

2つめの質問は、「それはどういう客観的データに基づいて言っているのですか?」という質問です。

この質問に答えるのはかなり難しいと思います。

たぶん主観的な気持ちでしか言っていないと思っているので、根拠などはないでしょう。

おそらく、「学歴が高いけど性格があまり良くない人」がいるのを見て、「これは詰め込み教育の弊害だ」と言っているのかもしれないです。

でも、それは明らかに偏った思想ですよね。

子供らしさの各要素について、

これらが失われていく本当の原因は、「勉強をたくさんさせること」にあるのではなく、「親が子供を受け入れてあげない」という部分にあるのだと思います。

たとえば、受験勉強に追い込まれ子供が本当に苦しんでいる。
点数が下がり、塾のクラスも下がり、幼い心が悲鳴をあげているのに、親からは「おまえは努力が足りない。もっと頑張りなさい!」と一方的に言われてしまう・・・。

こんな状況のなかで、本来の自分の気持ちを偽ったり、夢は実現しないものだと思ったりと・・・心が折れてしまい、子供らしさが失われていくのだと私は思っています。

教育熱心と一言に言っても、そこにいろいろな要素がありますし、子供らしさという性質のなかにも4つの要素があります。

ですから、

・「教育熱心」ということと、
・「子供らしさが失われる」ことを、

関連付けること自体がそもそも無意味なんですね。
ましてや、「詰め込み教育をすると、その弊害として子供らしさが失われてしまう」というのは、論理が飛躍しすぎているんです。

単純に言えることとしては、「親に受け入れてもらえなかった子は心の中はつらいだろうな」ということくらいなんです。


さて、抽象的な概念について長々とお話をしてきましたが、このあたりで今回の記事の要点をまとめたいと思います。

今回の記事でお伝えしたいことは次の2点です。

1つめは、「教育熱心であること」と「子供らしさが失われること」はほぼ関連性がないということです。
問題は親の側の意識であり、子供を受け入れる姿勢があれば弊害は起こりにくいといえます。


2つめは、「情報を鵜呑みにするのではなく、本質を見極めることが大切」ということです。

子供らしさと一言で言っても、いろんな意味があったりします。

新しい教育メソッドを聞いたときは、一呼吸おいて客観的に眺めてみると良いでしょう。


最後に、子供がたくさん勉強をしているからと言って、それが詰め込み教育だとは限りません。

なぜなら、小さなお子さんにとっては勉強と遊びの境がないからです。

詰め込み5

お子さんが算数や理科に興味を持って楽しんで取り組んでいるのであれば、それはお子さんにとって詰め込み教育とは言えないと思います。

本当の詰め込み教育とは、親御さんが自分の価値観を押し付けること、お子さんを自分で選ばせてあげないことです。

子供を医者にした私たちの教室の先生たちは、そこをしっかりと押さえ、教育してこられました。

本当の自主性を発揮して勉強しないと、本当の意味で身につかないのです。

このあたりの部分をしっかりと押さえておくことは、お子さんの教育方針を固めるためにとても重要なポイントとなります。

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