子どものIQを上げる10の方法
執筆者:熊野貴文(幼児教室ひまわり塾長)
最終更新日 2022年11月16日
子どものIQを上げるために、家庭ではどのようなサポートができるのでしょうか?
5歳頃のIQが、その後の知能の成長に大きな影響を及ぼすといわれています。
そこで今回は、幼少期から実践したい、地頭のいい子に育てるための10の方法をご紹介します。
IQを高めるためには幼少期が重要
最近では、ただ学校の勉強ができる子どもよりも、「地頭のいい子」に育てたいという親御さんが増えています。
そこで気になるのが、子供のIQ(知能指数)ですよね。
IQを高めるためには、幼少期が重要であるということは、すでにご存知の方も多いでしょう。
実際に、5歳頃のIQがその後の知能の成長に大きく影響する、という研究結果も発表されています。
そこで今回は、子どものIQを上げる10の方法をご紹介していきます。
子供のIQは生まれた時から決まっている?
そもそも、子供のIQは上げられるものなのでしょうか?
結論から言うと、YESです。
よく、「IQは遺伝するもの」「地頭の良さは生まれつき」だから、努力しても変わらないのでは?という親御さんがいらっしゃいます。
しかし、IQは遺伝的な要素が半分。
そして、残りの半分は、環境的な要素により決まるという見解が、科学者の間でも主流になっています。
仮にIQの上限が生まれつき決まっていたとしても、潜在的な力を最大限に引き出すだめには、やはり環境が大切だといえるでしょう。
頭の良さはIQだけでは測れない
これまでは、子どもの頭の良さを測る基準として、IQが使われるのが一般的でした。
IQは、「記憶」「思考」「概念」「図形」「記号」の5つの知能因子を数値化したものです。
しかし最近では、下記のような数値化できない能力(非認知能力)も重要視され始めています。
■EQ(心の知能指数):
自分や他者の感情を感じ取ったり、自分の感情をコントロールする知能。
社会的成功に必要不可欠な能力として注目されています。
■ワーキングメモリ(作業記憶):
日常生活において必要な情報を一時的に記憶・処理したり、同時に複数の作業をこなすための記憶能力。
5歳時点でのワーキングメモリの能力で、6年後の読解力や数学の成績が予測できるといわれています。
■自己肯定感:
ありのままの自分をポジティブに評価できる感情。
EQを高めるための要素でもあります。
文部科学省の調査によると、自己肯定感の高い子供は、学力も高い傾向があるそうです。
■自制心:
自分の感情をコントロールする力。自制心が強い方が、社会的に成功する確率が高く、受験勉強にも有利です。
スタンフォード大学で行われた「マシュマロ実験」によると、4歳の時点で自制心が強い子は、その後もずっとその傾向が続くとのことです。
どんなに高いIQも、上記のような能力が伴わなければ、宝の持ち腐れです。
IQのスコアを上げることだけにとらわれず、これらの能力や感情も、同時に高めていくことをおすすめします。
【参考情報】I Qという概念の生成に関する研究ノート
子供のIQを上げる10の方法
では、子どものIQを上げるために、家庭ではどのようなサポートができるのでしょうか?
知育おもちゃや知育アプリなど、子供の知育に良いとされるものは、数え切れないほどあります。
しかし、「片っ端から試してみたけど、結局どれも長続きしなった」「何から手を付けていいのかわからない」という親御さんも少なくないでしょう。
そこでここでは、シンプルかつ科学的なデータに裏付けされた、子どものIQを伸ばす10の方法ご紹介していきます。
1.楽器のレッスン
子どものIQを上げる方法の1つめは、楽器を習わせることです。
音楽を学ぶことで、心を豊かになるのはもちろん、IQの向上にも役立ちます。
中でもピアノは、子どもの言語能力の発達に特に良い影響を与え、場合によっては、音読練習以上の効果が期待できると言われています。
ピアノを演奏するときには、今弾いている箇所の少し先の譜面を素早く読んで、瞬時に記憶。さらに、両手で異なる動きをしなければなりません。
そのため、ワーキングメモリが鍛えられる習い事としても、ピアノが注目されています。
東大生に、ピアノ経験者が多いというのも納得ですね。
しかし、大切なのは、子供が自ら進んで練習することです。
無理やり練習させても、逆に、楽器に対する拒否反応を植え付けてしまいかねません。
どんな小さなことでも、できるようになったことを褒めて、子どもの自信やモチベーションにつなげていきましょう。
2.運動をさせる
子どものIQを上げる方法の2つめは、運動をさせることです。
体を動かすことで脳が活性化し、ワーキングメモリが鍛えられたり、集中力や判断力が向上する
といった効果が期待できます。
頭の良い子に育てるためには、ただ机に座って勉強ばかりさせるよりも、思いっきり体を動かす機会を作ってあげた方が効率的だといえるでしょう。
3.子どもの努力を褒める
子どものIQを上げる方法の3つめは、子どもの努力を褒めることです。
幼少期にたくさん褒められた子どもは、自己肯定感が育ちやすくなります。
自己肯定感は、EQを高めるために欠かせない感情であると同時に、勉強へのモチベーションへもつながっていきます。
子どもの能力や資質ではなく、努力を褒めることを意識しましょう。
また、小さな子供は普通のトーンで褒めても、気づきにくいことがよくあります。少し大げさかな?と思うくらいのリアクションがおすすめです。
逆に控えたほうがいいのは、「うちの子は◯◯が苦手だから…」など、他の人の前で、子どもについてのネガティブな発言をすることです。
大人は謙虚に言っただけでも、子どもはそれを信じて傷ついてしまいます。
そして、自分は本当にできないのだと、自信をなくしてしまいます。
親ばかだと思われても気にせず、外でもわが子を思いっきり褒めてあげてください。
4.睡眠時間を十分に確保する
子どものIQを上げる方法の4つめは、睡眠時間を十分に確保することです。
よく「寝る子は育つ」といいますが、睡眠時間とIQ高さには、関連性があることがわかっています。
実際に、6歳児を対象にした実験で、睡眠時間が8時間以下の男の子は、睡眠時間10時間以上の男の子と比べて、IQのスコアが平均で10点低かったという結果も出ています。
習い事や知育など、子供のIQを上げるために、できるだけたくさんのことをしてあげたいという親御さんの気持ちはよくわかります。
しかし、そのために子どもの睡眠時間が削られてしまっては逆効果です。
とはいえ、生活習慣をいきなり変えるのはなかなか難しいですよね。
そこでおすすめしたいのが、15分刻みで、就寝時刻をずらしていく方法です。
まずは、いつもより15分だけ就寝時刻を早く設定します。そして、慣れてきたら、さらに15分早めます。
これを目標の就寝時刻になるまで繰り返せば、無理なく、生活習慣を改善していくことが可能です。
5.健康的な食生活
5つめは、健康的な食生活を心がけることです。
とくに、オメガ3系脂肪酸のDHAは、子どもの脳の発達に重要な栄養素といわれています。
しかし、これさえ摂取していればいいというわけではなく、栄養バランスを考えることが重要です。
健康的な食事が脳の成長に関係することは、すでに多くの研究結果で明らかになっており、3歳頃の食習慣が8歳頃のIQにまで影響することもあるそうです。
また、ファーストフードを食べて育つと、IQが低くなるという傾向も報告されています。
6.積み木遊び
6つめは、積み木遊びです。
積み木は、指先の器用さ、空間認識能力、創造力、集中力を育むことができる、究極の知育おもちゃといえます。
子でもの知能テストで使われることも多く、積み木の問題はIQテストや小学校受験でも定番です。
小さいうちから空間認識能力を身につけた子は、小学校で算数が得意になりやすいです。
とはいえ、ただ「遊びなさい」と言って積み木を与えても、子どもは興味を示さないことも多いでしょう。
そのような場合は、例えば、どちらが高く積み木を積み重ねられるか親御さんと競争したり、図形パズルのように、親御さんが作った図形を真似するなど、「お題」を提供して一緒に遊ぶと、うまくいくことがあります。
7.子供と一緒に絵本を読む
7つめは、子どもと一緒に絵本を読むことです。
絵本の読み聞かせは、子供の言語能力を高めるとともに、EQの向上にも役立つといわれています。
実際に、イギリスで発表された研究結果で、幼少期の読書能力が高い子どもは、大きくなってからも、読書能力や知能テストでも高いスコアを出すことがわかりました。
また、より早い時期に読書を始めた子供は、生涯に渡って言語生知能が高いという研究結果もあります。
ただし、一方的に絵本を読み聞かせる方法では、こういった能力を高めることできません。
大切なのは、子どもと一緒に読むことです。
読み聞かせをするときは、特定の単語に注目させたり、年齢にあった質問をしながら、子どもと一緒に本を楽しみましょう。
8.ごっこ遊び
8つめは、ごっこ遊びをすることです。
ごっこ遊びには、想像力や記憶力、そしてそれを再現する力が必要なので、ごっこ遊びに夢中になっている子供の脳はフル回転しています。
また、子ども同士でごっこ遊びをするようになると、自分の感情をコントロールする力、言語スキル、問題を解決する力なども身につけることもできます。
さらに、ごっこ遊びは、IQよりも重要だといわれる非認知能力のひとつ、「自制心」が鍛えられる遊びとしても注目されています。
9.子どもの意見を聞く
9つめは、子どもの意見を聞くことです。
子どもの頃は、いろいろと親が決めることが多く、思っている以上に、自分の頭で考える機会は多くありません。
これからの時代に求められるのは、リーダーシップを発揮できる人材です。
できるだけ小さなうちから、子どもに考える機会を与えてあげましょう。
例えば、「今日の夕ご飯は、〇〇と〇〇、どっちが食べたい?」のような、日常生活の中の簡単な選択でかまいません。
あるいは、子どもと一緒にニュースを見ているときに、子どもに意見を聞いてみるのもおもしろいでしょう。
突拍子もない答えが返ってくるかもしれません。しかし重要なのは、子どもが自分で考えたという事実です。
このように、日常的に子どもに何かを選ばせたり、意見を言わせる機会を作ることで、考える習慣を身につけさせましょう。
10.自然体験をさせる
子供のIQを上げる方法の最後は、子どもに自然体験をさせることです。
最近、外遊びやアウトドアなどの自然体験が子どものEQを向上させるとして、「外育」が注目れています。
キャンプ場やアスレチック公園など、自然が楽しめる場所に子供を連れて行くと、子どもは新たな発見にワクワクするでしょう。
このワクワクが、心や脳の発達にとって、とても重要なのです。
さらに最近の研究で、緑の多い場所で育った子供は、緑が少ない場所で育った子どもよりIQが高い傾向にあることもわかってきています。
ぜひ積極的に、子どもに自然体験をさせてあげましょう。
【参考情報】保育において子どもの発達を促す成
子どもの知能を底上げする大切な要素
今回ご紹介した子どものIQを上げる方法は、どれも基本的なものばかりです。
しかし、意外と見過ごされているものも多いので、あれもこれもと手を広げる前に、一度立ち止まって、見直してみることをおすすめします。
よく食べ、よく遊び、よく眠る、そして、子どもをよく褒める。
一見、知能の発達には、直接関係がなさそうなことも、実は子どもの知能を底上げする大切な要素なのです。
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