小学校受験と中学受験。どちらに力を入れる?
執筆者:熊野貴文(幼児教室ひまわり塾長)
最終更新日 2022年10月02日
「小学校受験か中学受験かどちらをさせるべきか?」と悩まれる親御さんも多いですね。
中学受験で灘中学に合格して実際に医者になった私の経験をもとに、「小学校受験と中学受験の違い」についてご紹介いたします。
私のもとには、お子さんの進路に関するご相談が数多く寄せられています。
「朱に交われば赤くなる」というように、お子さんが日々過ごす環境は将来にとても大きな影響を与えます。
そして多くの保護者の方が悩むのは、「小学校受験(お受験)をすべきかどうか」という点に関してです。
また、小学校受験ということに関して、「小学校受験か中学受験かどちらをさせるべきでしょうか?」というご相談も数多く届いています。
【参考情報】学校教育に対する保護者の期待と満足
そこで、今回の記事では、この2つのご質問にお答えする形で小学校受験ということについて一緒に考えていきましょう。
それではさっそく始めていきましょう。
小学校受験のメリット、デメリット
まずは最初のテーマである、「小学校受験(お受験)をすべきかどうか」という点に関して考えていきましょう。
このテーマについて考える際には、小学校受験をするメリットとデメリットをしっかりと把握する必要があります。
小学校受験をすることのメリットはどこにあるのでしょうか?
私は大きく分けて2つあると思います。
1.エスカレーター式に進学できる
2.良い家庭のお子さんと一緒に学べる
この2点ですね。
これら2つのメリットに関しては、私の教室で学んでおられる方や、子供を医者にしたいという教育熱心な方であれば一から説明する必要はないと思いますが・・・各1点ずつ補足させていただきます。
まず1つめのメリットである、「エスカレーター式に進学できる」という部分に関してです。
エスカレーター式に進学できると言っても、どこにでも進学できるわけではないです。
たとえ小学校受験をしたとしても、医学部や東大、国立大学クラスにはそのまま進学することはできません。
内部進学できたとしても、トップクラスの学歴は保証されません。
つまり、子供を医者にしたい場合は「医学部を受験して合格する」という別のハードルが存在していることを忘れないようにしておいてください。
次に2つめのメリットである、「良い家庭のお子さんと一緒に学べる」という部分に関して。
ここで言う良い家庭というのは、「教育熱心で家庭環境が良い家」ということを意味しています。
小学校受験は親の面談もあるので、親御さん自身の知性やマナーについてもある程度のレベルが必要になるわけです。
ですから、当然のことながら、家庭環境の良い家のお子さんが集まってくることになります。
このような子供たちと一緒に学ぶことは、お子さんの学力や心の発達に関しても良い方向に働くことが期待できます。
ただ、ここで知っておきたいのは、「ある程度教育熱心な地域であれば、公立の小学校でも十分に環境が良い」ということです。
たとえば私が昔通っていた、本山第一小学校という学校では生徒の半分くらいが中学受験をします。
ですから、かなりの割合の生徒が塾に通っているような状況だといえます。
これは私の出身校だけでなく、多くの小学校に当てはまるといえます。
この状況をふまえると、「教育環境の優れた校区にお住まいなら、遠い私立小学校に通わなくても近くの公立に通うのも良い選択である。」ということが言えるわけですね。
小さなお子さんにとって、電車に乗って遠くに通うだけでも結構大変な場合もあると思います。
さて、次に小学校受験のデメリットをお話していきましょう。
小学校受験のデメリットについては、私は2つあると思います。
1つめは何といっても、「お金の問題」です。
私立の小学校に通わせるとなると年間で60~100万円必要です。
この金額に交通費が上乗せされますので、かなりの負担になります。
私はサラリーマン家庭で育ったので、このような費用は到底出せる状況ではありませんでした。
そのため、公立小学校という選択肢しか無かったのが現実です。
2つめは、「通学時間の問題」です。
私立小学校に通う場合は電車で通学するケースが多いです。
仮に通学時間が30分くらいだとすると、往復で1時間になります。
これに対して、地元の公立小学校に通う場合であれば通学時間は10分くらいが平均的です。
往復でも20分くらいになると思います。
ここで単純計算すると、
私立小学校に通う場合、近くの公立小学校に通う場合と比較して、
1時間 - 20分 = 毎日40分
の通学時間が余分に必要になります。
これは小学校6年生の中学受験間際になると結構なハンデになってきます。
毎日の勉強時間が減ってしまうのですから、どうしても不利になるのです。
この通学時間という点に関しては、見落としている方も多いですからぜひ頭に入れておいて頂ければと思います。
さて、いろいろとお伝えしましたが総合的に検討することがとても大切です。
「小学校受験さえ乗り切ればあとは将来が保証されている」ということはありません。
お子さんを医者にするためには、まだまだ高いハードルがあります。
ですから小学校受験を検討する際には、メリットとデメリットを総合的に考慮して、「小学校受験をすべきかどうか」ということを決める必要がありますね。
それでは、次にもう1つのテーマである、
「小学校受験か中学受験か、どちらをさせるべきでしょうか?」
という部分について触れていきましょう。
【参考情報】早期教育について
小学校受験 VS 中学受験
小学校受験に力を入れるか、それとも中学受験に入れるべきか・・・。
このテーマに悩んでいる方は多いですが、答えはとてもシンプルです。
お子さんを医者にしたり、東大、京大レベルを目指すのであれば、「小学校受験をする、しないに関わらず、中学受験は必須である」と言えます。
お子さんを医者にするためには、東大に合格するのと同レベルか、それ以上の学力が必要になってきます。
それを実現するためには、「難関中学校に合格する」という中間ゴールを経験しておくことがとても重要だといえます。
(実際、私が卒業した大阪大学医学部は学生の8割くらいが有名中学校出身です。)
中学受験という世界は学力だけで決まる熾烈な戦いが存在しています。
この厳しい戦いを経験することで、
・圧倒的な学力と思考力
・やればできるという自信
が培われることになります。
中学受験に本気で向き合ってきた力は生涯の学力となって生きてきます。
また、私立小学校に通っていたとしても、小学校の授業の内容だけでは中学受験に勝つのは難しいといえます。
小学校の授業の内容と、中学入試の内容はレベルが違います。
ですから中学受験に必要なスキルを進学塾に通って身につける必要があります。
つまり、まとめるとこういうことです。
「小学校受験か中学受験かどちらをさせるべきでしょうか?」
というテーマに対する答えは、
・小学校受験をする、しないに関わらず中学受験は必須である
・私立小学校に通っていたとしても進学塾で学ぶことが必要になる
という2つに集約されます。
小学校受験と中学受験は、「どちらに力を入れるべきか」というたぐいのものではなくて、「それぞれが別のイベントである」と考えるべきだといえますね。
今回の記事では、小学校受験というものについて深く掘り下げてお話しました。
最後に1つだけお伝えしておきます。
人は誰しも、「自分が成功したことを良いと思う」という傾向があります。
それは当然私にも当てはまると思います。
どういうことかといいますと・・・
私自身が、「小学校受験をせずに中学受験を経験した」という経歴を持っているので、どうしても自分の成功パターンが正しいように見えてしまうかもしれません。
また、幼児教室ひまわりの講師のお子さんたちは、阪大医学部や灘中学卒の方が多いので、どちらかというと国公立志向です。そういう意味でも、講師のお子さんの中には、小学校受験経験者は少ないです。
逆に、「小学校受験(お受験)をした結果、お子さんの最終学歴が東大になった」という方の場合は、お子さんに小学校受験を勧められると思います。
そのため、この記事でお伝えした内容が少し偏っている可能性もあると思います。
もちろん記事の内容に関しては、私の指導歴やデータなどに基づいて、できるだけ中立的に検討しています。
しかし、自分が経験していないので・・・小学校受験ということに関して100%正確な情報かというと、それは正直なところわかりません。
ですから、あくまでもお子さんの適性、そしてあなたの教育方針を元に、あなたにとって役に立つ部分を参考にしてもらえればと思います。
【参考情報】教育達成における階層差発生過程のモデル化
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