そろばんは算数の力を高めることができるのか?
執筆者:熊野貴文(幼児教室ひまわり塾長)
最終更新日 2022年10月13日
そろばんを習うことで得られる知育効果について、わが子を灘中学合格、算数オリンピック金メダルへと導いた柴田先生の体験談をもとにお伝えします。
わが子の算数力を培うために、幼少期にどんな教育をすれば良いのか?
多くの親御さんが考えていることだと思います。
算数力を培うための習い事として、公文式とそろばん教室がよく挙げられ、
どちらが良いのか?ということもよく議論されています。
この2つについては、どちらが良くてどちらが悪いということはないと思います。
お子さまの性格や環境に合った方を取り組むのが良いでしょう。
そこでこちらのページでは、幼児教室ひまわり算数主任講師の柴田先生に、
そろばんについて詳しく解説していただきます。
柴田先生は現在もそろばん教室を運営し、自身もそろばん五段です。
今回は、そろばんのメリット・デメリットをお伝えしますので、
この内容をもとに、お子さまの習い事の選定やご自宅での教育に、活かしていただけたらと思います。
そろばん教育のメリット
それではここからは、私、柴田が解説していきます。
まずは、そろばん教育のメリットを3つご紹介します。
1.発想力やひらめき力が鍛えられる
そろばんでの計算は、問題解決の思考回路を最短距離で結ぶ「右脳の力」が鍛えられます。
珠算式暗算は右脳の開発に役立つことが最近の研究でも実証されてきています。
指先を使うことが脳内の回路を構築し、右脳を同時に育てています。
これにより、問題解決に必要な発想力やひらめき力が培われていきます。
2.記憶力が鍛えられ、頭の回転が速くなる
一般的な記憶のやり方は、順序立てたり、道筋を作りながら、理論的に覚えていきます。
これは左脳が働いています。
それに対してそろばんは、目と指先を使って、珠(たま)が動く「映像」で覚えます。
右脳を働かせた記憶です。
そろばんの問題を解く時は、
問題(数字)を見て瞬時に記憶
↓
そろばん上に目を移して計算
↓
計算後は答えを瞬時に記憶して記入
このような流れで、“瞬時に記憶する作業”をひたすら繰り返し、記憶力が鍛えられていきます。
脳内で瞬時に、記憶と処理作業を行うので、頭の回転も速くなっていきます。
3.勉強のやる気や向上心が高まる
子どもにとってそろばんは、ただ単に計算するのではなく珠の動きがあるため、
おもちゃで遊ぶような楽しさがあります。
計算を繰り返すことで計算力も高まり、問題を解けることによる楽しさも実感することができます。
子どもは「楽しい」という快感があると、いくらでも机に向かって集中できるようになります。
考えることが苦ではなくなるからです。
また、そろばんには検定試験があり、努力をして級を上げていく
レベルアップの経験を積むことができ、上を目指す向上心も身についていきます。
そろばん教育のデメリット(弊害)
次に、そろばん教育におけるデメリット(弊害)を3つお伝えします。
1.文章問題に取り組む機会がない
そろばんの問題は、文章問題ではなく計算問題です。
問題文を読まないで、解いていくものばかりです。
単純作業でこなしていくため、丁寧な見直しをしないこともあり、考える機会が少ないと言えます。
また、そろばんは回答の正解を意識しつつも、早く処理をすることが優先になりますので、
書く文字が乱れることもしばしばあります。
ですので、そろばんを習うとしても、文章問題に取り組む機会は作っておくと良いでしょう。
2.他の習い事と両立しづらい
そろばんは週に2~3回通うことが求められるため、
他の習い事と両立しづらいことがあります。
とはいえ、そろばんを週1回程度にしては、実力がつきにくいのも確かです。
そろばんと他の習い事をどのように両立させるか?
親御さんとお子さま、両方の負担もきちんと考慮しつつ、バランスを調整していきましょう。
3.計算の工夫が少なくなる
そろばんは、速く正確に計算することを追求するため、
そろばんに慣れた人は、計算途中で計算の意味を考えたり、他の計算方法を工夫することが少ないです。
たとえば、「25×16」を暗算しようとすれば、
そろばんに慣れている人は頭のなかで珠を動かすかもしれません。
一方、そろばん経験のない人は、工夫する必要があります。
たとえば、16を4×4に分解し、25×4×4として考えるのです。
すると、100×4となり、そろばんがなくても暗算できます。
このような計算の工夫は、そろばんを習った人の場合、身につきづらいかもしれません。
実際私も、この式の場合、そろばんの計算方法で、
1×25、6×25というやり方で考えてしまいます。
このような計算の工夫は、中学受験の進学塾などでも教わる機会があります。
そのため、そろばんを習っていたとしてもそろばんの計算法だけに固執せず、柔軟に対応できるように、
親御さんは注意してお子さまに接してあげると良いと思います。
「計算が早くなる」という成功体験
改めまして、熊野です。
今回は柴田先生に、そろばん教育のメリット・デメリットをご紹介していただきました。
冒頭でもお伝えしましたが、
「公文式とそろばんはどちらが良いか?」と悩まれる親御さんもいらっしゃいますが、
どちらが良くてどちらが悪いというものではありません。
お子さまの性格や環境によって、合う合わないがあります。
公文式でもそろばんでも、あるいは、どちらにも通わない自宅学習でも、
「計算が早くなる」という体験を積むことが重要です。
私の場合は公文式に通いましたが、確実に計算は早くなりました。
計算が早くなると、親からも褒められ、先生からも褒められ、お友達からは頼られる存在になります。
これは子どもにとって、とても貴重な成功体験です。
この成功体験は早い段階から経験させておくと、
この先の勉強も、よりスムーズに進めていくことができると思います。
習い事には、必ずメリットとデメリットがあります。
そろばんについては、柴田先生から以下ご紹介いただきました。
そろばん教育のメリット
1.発想力やひらめき力が鍛えられる
2.記憶力が鍛えられ、頭の回転が速くなる
3.勉強のやる気や向上心が高まる
そろばん教育のデメリット(弊害)
1.文章問題に取り組む機会がない
2.他の習い事と両立しづらい
3.計算の工夫が少なくなる
これらを参考に、お子さまに合った教育を実践してみてください。
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