本を読めば国語が強くなるのか?
執筆者:熊野貴文(幼児教室ひまわり塾長)
最終更新日 2022年10月02日
中学受験を目指す場合、国語の配点が高い学校が多いので、国語力は必要になります。
そこでこちらのページでは、中学受験に灘中学に合格した私が、国語の勉強法についてお伝えします。
私たちの教室では中学受験を目指す方が多いですから、「うちの子は中学受験を目指しているが、どうしても国語が苦手なんです。」というご相談をたくさんいただきます。
そこでこのページでは、国語が苦手な小学生のお子さんをお持ちの親御さんのために、国語の勉強法をお伝えしていきます。
中学受験は特殊な世界ですから、大人の勉強の常識が通用しません。
「あなたは国語が弱いから、本をしっかりと読んでおきなさい」というのは、全然効果が期待できないのが現状です。
それでは、本題へと入っていきます。
国語の勉強法は、3段階で考える
私は医学部卒なので理系ですが、国語は得意教科でした。
小学校4年生の時は苦手教科でしたが、どんどん成績がアップしていき、灘中学受験の直前には浜学園でトップクラスになりました。
苦手教科を得意教科に変えてきたので
・国語が苦手な小学生がどこで躓いているのか
・なぜ勉強しても力が付かないのか
・どうすればテストで得点できるのか
ということがよく分かります。
その経験から、国語の勉強法についてまずお伝えしたいことは、「国語の問題は3階層ある」ということです。
1.知識を問う問題
2.作成者の指示に従う問題
3.文章の意味を聞く問題
の3階層になります。
(この番号が大きい問題ほど、習得に時間がかかります。)
まずは、この3階層の問題があるということをしっかりと意識してください。
それでは、次に各階層について、その勉強法をお伝えしていきます。
まず最初に、第1階層の「知識を問う問題」の勉強法についてです。
知識を問う問題は単なる暗記
知識を問う問題というのは、
・漢字の読み書き
・ことわざの意味を聞く
・四字熟語を書かせたり、意味を聞く
などの問題を指します。まさに、暗記問題と言えますね。
今から少し厳しいことを言いますが、これは私が自慢したいわけでなく、おごっているわけでもなく・・・事実としてお伝えするものと思って、受け取ってください。
灘中学に合格した私から言わせると、知識を問う問題を回答できないことは「中学受験の準備をしていない」としか思えません。
ただ覚えれば解けるわけですから、絶対に間違ってはいけないのです。
ですから、覚えれば解ける問題は、親御さんがしっかりと管理してあげて、確実にマスターさせてください。
それだけで中学受験の国語の問題の約3割は得点できるようになります。
小学生のお子さんにしっかり覚えさせるためには「親が一緒にチェックしてあげる」ということが最も効果的です。
漢字やことわざ、四字熟語などは単純に覚えるだけですから、基礎知識がなかったとしても、すぐに子供と一緒に勉強できます。
ですから、ここで失点しているなら今日からお子さんと一緒に勉強し、しっかりチェックしてあげて下さい。
次に2番目の、「作成者の指示に従う問題」の勉強法についてのお話をします。
作成者の指示に従う問題は「読解力」とは関係ない
作成者の指示に従う問題というのは、
・主語と述語はどれになりますか?
・この部分を詳しく言い表した部分を12文字で抜き出しなさい
・線を引いた部分と同じ意味の言葉を本文中から探しなさい
このようなタイプの問題です。
長文が出てきて、問題の作成者から指示が出されるのです。
大切なことは、この問題を解く力を読解力と一緒に考えないことです。
読解力というのは、「文章を作っている人の言いたいことを読み取る力」ということになります。
これに対して、作成者の指示に従う問題では、読解力がなかったとしても、極端な話、長文の意味がちんぷんかんぷんだったとしても、問題を解くことができるのです。
国語がトップクラスの私の場合でも、「この文章は何が言いたいのかが全くわからないなあ・・・」という経験はよくありました。
それでも、その問題のなかの7割くらいは正解できたのです。
なぜなら、作成者の指示に対して適確に従うことができたからです。
作成者の指示に従う問題は、読解力とは切り離して考えて対策を進める必要があるのです。
まずは、このタイプの問題を、「読解とは別物なんだな」と認識するのが最初のステップです。
その認識がしっかりできれば、パターンが見えてきますのでね。
ここでも大切なことは、「子供と一緒に勉強する」ということだと言えます。
それでは3つめのタイプの、「文章の意味を聞く問題」についてお話していきます。
文章の意味を聞く問題=読解力
いよいよ最後のステップです。
文章の意味を聞く問題というのは、こんなタイプの問題です。
・作者が言いたかったことを50文字以内に要約しなさい
・主人公の○○○は、どんな気持ちでこんなことを言ったのでしょうか?
・線を引いた部分を分かりやすく30文字以内で説明しなさい
こういう問題ですね。
このタイプの問題は難しいです。
なぜなら、文章の内容を正確に理解している必要があるからです。
これこそ、「読解力」と言えます。
さて、読解力を付けるためには、何をすればよいのでしょうか?
保護者の方の中には、「うちの子は本を読まないので読解力がないんです。国語が強くなるために、本を読ませないといけないです」・・・こんなふうにおっしゃる方も結構おられますが、
本を読むことは読解力を付けるために最大の近道でしょうか?
私は全く違うと思います。
そもそも、受験を控えたお子さんに悠長に本を読む時間はありません。
また本を読んだからと言って、文章の意味が分からなければ結局何も変わらないままですね。
それでは何をすればよいのか・・・
やるべきことは、問題集の長文を子供と一緒に読みながら、
「これはどういう意味かな?」
「これはこういうことなんだよ」
と逐一解説してあげることです。
つまり、
「これどういうことかな?」→「なんだこういうことか」
という、疑問と納得を繰り返し見聞を深めていく作業です。
読解力を付けるためには、この方法が一番手っ取り早いです。
さて、ここで大切なポイントが2つ。
1つ目のポイントは、「なぜ教材が本や新聞ではなく、国語の問題集なのか」ということです。
その最大の理由は、「問題として使われているから、学ぶところが多い」ということです。
わざわざ問題として使っているので「問題として突っ込みどころ満載」ということなのです。
2つ目のポイントは、「だれがその作業をするのか?」ということです。
これは親か兄弟か家庭教師のいずれかになります。
文章の意味を理解できる人が、一緒に勉強する必要があります。
もしあなたが自信がなければ、家庭教師を雇うと良いでしょう。
家庭教師を雇われる場合は、「長文を子供と一緒に読んで、何を言っているのかを教える」という作業だけですから、中学受験の経験は必須ではなく、国立の文系の先生が適任だと言えます。
小学生の国語の勉強法については、3つの段階に分けて考えることが最初のステップになります。
「国語が苦手だから本を読ませる」というような安易な方法では、効果が期待できません。
私がお伝えした情報を参考に、戦略的に考えるようにして下さい。
ただし、お子さんが現在中学受験の間近でない場合は、全然事情が変わってきます。
中学受験が迫っている状況(小学校高学年以上)であれば、本を読むことよりも問題集の文章に一緒に取り組むことが、読解問題に強くなるためには効果的だと思います。
しかし、幼児期であったり、小学校低学年、そして中学生の場合は本を読むことがとても重要です。
幼児期の場合は、読み聞かせと言う形でお母さま、お父さまが楽しく読んであげてください。
小学校低学年の場合は、お子さんが興味を持つ可能性が高い本を、たくさん周りに置いておくことが重要です。
そして、お子さんが中学生以降の場合は、自主性に任せるのですが、その際にも親御さんが見本を見せることが重要です。親御さんが本を楽しんでいることを上手に見せていくことで、お子さんも本に興味を抱きます。その結果、本に対する抵抗が少なくなっていくのです。
このあたりは、お子さんに読書習慣を付けさせてあげ、国語が強くなるためにとても大切なポイントになりますので、しっかりと押さえておいてくださいね。
こちらのページでは中学受験を目指す小学生のために、国語の勉強法をお話しましたが、幼児教室ひまわりでは、お子さまの脳を鍛える具体的な方法や難関中学に合格するための勉強法などを、オンライン講座やメールマガジンで公開しています。
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