プログラミング教育とは?未来を担う子どもたちが学ぶ新しい分野
執筆者:熊野貴文(幼児教室ひまわり塾長)
最終更新日 2022年09月25日
2020年より子どもたちの学びの場に導入された「プログラミング教育」。
AIの台頭やインターネットの普及により、ITが身近に、当たり前にある時代になりました。
しかし2年経った今でも「プログラミング教育」とは一体何なのか、どのようにして学ぶのかなど疑問に感じている保護者の方も多いことでしょう。
こちらのページでは、「プログラミング教育」とはなにか、必修化になった理由やどのような学びなのかなど、詳しく解説します。
プログラミング教育必修化までのプロセス
文部科学省により改訂が繰り返されている「学習指導要領」。
2011年に外国語教育が必修化されたことも、まだ記憶に新しいのではないでしょうか。
プログラミング教育も同じように、文部科学省による学習指導要領の改訂によって必修化される運びとなったのです。
プログラミング教育は、中学・高校ではすでに一部導入されていました。
しかし2020年度より改訂された新たな学習指導要領では小学校も追加され、小中高、すべての学びの場でプログラミング教育が必修となる運びとなりました。
なお、2020年よりプログラミング教育が必修化されたのは小学校のみ。中学校は翌年となる2021年から、高校にいたってはさらに翌年となる2022年より必修化されています。
なぜプログラミング教育は必修化されたのか
なぜプログラミング教育は必修化されることになったのでしょう。
必修化された背景には、次の2つの理由があげられます。
・プログラミング的思考を養う
・IT化社会に対応できる人材を育てる
それぞれ詳しくお話していきましょう。
プログラミング的思考を養う
プログラミング教育が必修化された背景の1つ目は、プログラミング的思考と呼ばれる「論理的思考」を子どもたちに養ってもらうためです。
プログラミング教育と聞くと、プログラミング言語などを習得するための学習がメインにおこなわれると思われがちです。
しかし小学校においては、プログラミングという教科が誕生したわけではありません。
これまでの授業をベースに、プログラミング的思考を習得させるための指導をおこなっていきます。
プログラミング的思考とは、物事を順序立てて考え、答えや結論を導き出すことを意味します。
このような思考は、プログラミングを学ぶときにだけ活かされるわけではありません。
算数や国語など、一見無縁に思える教科にこそプログラミング的思考は威力を発揮します。
問題を素早く読み取って正解を導き出すには、内容を順序立てて整理しなければなりません。
その結果を踏まえ自らの思考を整理し、最終的な正解をはじき出します。
このときに必要となるスキルが論理的思考力、つまりプログラミング思考だといえるでしょう。
プログラミング思考は、早い段階で習得しておくことで、今後の学習や受験などで強い味方となってくれるでしょう。
IT化社会に対応できる人材を育てる
プログラミング教育が必修化された背景の2つ目は、IT化社会に対応できる人材を育てることです。
平成から令和に時代は移り変わり、IT社会の進化は今まで以上にめざましく発展し続けています。
その結果、いつしか私たちの生活には、パソコンやスマートフォン・タブレットや電子黒板のようなICT(情報通信技術)機器が、当たり前のように身近に存在するようになりました。
小学校でおこなわれるプログラミング教育の授業では、ITにまつわる時代のニーズを読み取り、流れに取り残されないためにも、さまざまなICT機器の扱い方の習得を目指します。
小学校の段階からICT機器の扱い方などを学習し、経験を重ねていくことで、IT社会に対応できる人材育成ができるのでしょう。
【参考情報】小学校におけるプログラミング教育実践上の課題
小学校でおこなわれるプログラミング教育とは
小中高で実施されているプログラミング教育は、学年に応じて学ぶ内容や目的が異なります。
中学・高校では、プログラミングに対する知識や複雑なコード・詳しい仕組みなど、実践的に役立つ専門的な学びが学習に盛り込まれていきます。
しかし小学校でのプログラミング教育は、プログラミングに対する専門的な学習をメインにするのではなく、基礎となるプログラミング的思考の習得を目指す内容の指導がおこなわれるのです。
パソコンなどを使用しないプログラミング学習もある
プログラミング教育と聞くと、馴染みがない方は、パソコンやタブレット・インターネットなどのICT機器を使用して学習するイメージがあるかもしれません。
ですが、小学校ではプログラミング的思考を主に習得していくため、場合によってはパソコンなどのICT機器を使わない、「アンプラグド・プログラミング」という手法の授業がおこなわれることも珍しくないのです。
たとえば、カードやブロックを使用してゲーム感覚で学ぶ。イラストや絵本・マンガなどを使用して楽しみながらプログラミングの概念を身につける。
このような「アンプラグド・プログラミング」手法を用いれば、パソコンなどのICT機器を使うことなく、現時点で学校にあるものやすぐに用意できるものでプログラミング教育が進められます。
また「アンプラグド・プログラミング」の場合、プログラミング教育に馴染みがない先生たちの指導のしやすさや、低学年の子どもたちでもプログラミング思考を習得していける点もポイントです。
このようなパソコンなどのICT機器を使用しない指導方法は、プログラミング教育の現場で積極的に導入する動きもあるようです。
直感的に学べる学習方法で進められる小学校のプログラミング教育
親にも馴染みがないプログラミング教育を学ぶことに、不安を感じる保護者の方もいることでしょう。
ここまででお話しているように、小学校の間は専門的なプログラミング学習ではなく、プログラミング思考の習得やプログラミングの基本的考え方などが主な学習内容となります。
ですから、難易度はさほど高くなく、子どもたちが楽しみながら学べる工夫がこらされていますので、あまり難しく考える必要はありません。
しかし当然のことながら、ある程度の専門性がある実践的なプログラミング言語学習もおこなわれます。
小学校で使用されるプログラミング言語教材としては、「Scratch(スクラッチ)」や「Viscuit(ビスケット)」などが有名です。
「ビジュアルプログラミング言語」と呼ばれるこれらの言語を用いた教材は、とにかく視覚的に理解しやすく操作が簡単。そのため、小学生でも楽しみながらプログラミングが学べるため人気のようです。
学校教育の現場からは離れますが、プログラミング教室などでもよく利用されている言語・教材としては、上記2つに加え、「マインクラフト」や「スーパーマリオメーカー」なども導入されているようです。
このようなゲーム感覚で楽しみながらプログラミングを学べるものや、オンライン上で無償提供されている教材などを駆使し、それぞれの学校・教員が工夫をこらして子どもたちへプログラミング教育を実施しています。
小学校の間からプログラミングに馴染むためには、いかに操作が簡単でゲーム感覚で楽しめるかが鍵を握ります。ですから、難易度が高い授業で子どもがついていけないなどの心配は不要となりますのでご安心ください。
【参考情報】小学校プログラミング教育の光と影
楽しく遊びながら学べる小学校のプログラミング教育
習い事としてもプログラミング教育が注目されている2022年。
子どもたちは、遊びの延長線上でプログラミングを学び、プログラミング思考を習得していける環境が整いはじめています。
学校現場でおこなわれるプログラミング教育の学びの中で、自分たちの世界にプログラミングがいかに身近にあり、いかに密接に関わっているかを知る・学ぶことこそが、小学校でのプログラミング教育の意義であり目的かもしれません。
遊びながら学ぶ、ゲーム感覚で学ぶことは、決して悪いことではありません。
一見難しそうでハードルが高そうに見えるプログラミングだからこそ、楽しく遊びながら学んでいける環境こそが子どもたちを伸ばす大切な要素となっていくでしょう。
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