幼児期から身につける学習習慣の定着方法
執筆者:熊野貴文(幼児教室ひまわり塾長)
最終更新日 2023年06月30日
わが子に学習習慣を定着させるためには、一朝一夕ではむずかしいかもしれません。
少しずつであれ、長い期間毎日コツコツと積み上げてきた結果があってこそ、子どもの学習習慣は定着します。
幼児の時期から学習習慣を定着させることは、本格的な勉強がはじまる小学校以降に大きな影響を与えるでしょう。
そこでこちらのページでは、自主的に勉強をする子どもに育てるために「幼児期から身につける学習習慣」をテーマに、やり方やコツなどを紹介いたします。
学習習慣の定着には幼児期からの取り組みが重要
わが子に学習習慣をつけさせるためには、本格的な勉強がはじまる小学校を見据え、幼児期からスタートさせることがオススメです。
小学校へ上がる前から学習習慣が身についていれば、入学後の勉強が円滑に進められるでしょう。
遊びの延長から学習習慣を身につけていく
学習習慣を身につけるために適したスタート時期をもう少し具体的に紹介すると、幼稚園入園後頃を目安に考えるといいでしょう。この時期から少しずつ勉強を取り入れていくことがオススメです。
幼少期からの勉強は、最初のうちは遊びの延長のような内容からはじまります。
そのため、子ども自身が「勉強させられている」といった意識が芽生えにくいこともオススメする所以です。
本格的な学びの内容にシフトチェンジしはじめるのは、市販のワークや大手の通信系学習教材などを見ると、幼稚園の年長頃のようです。
幼児期に身につけた習慣は長く定着する
みなさんも思い当たる節があるかもしれませんが、幼児期に身につけた習慣は、生きていく上でおこなうことが「当たり前」として受け入れられやすくなります。
起きたら挨拶をする・顔を洗う・ご飯を食べる。
手が汚れたら洗う・汚れた服は着替える...など、日常生活で当たり前におこなっていること、そのほとんどが幼児期に身につけた習慣だと思いませんか?
これらの習慣は、当然大人になった今でも何の問題もなく定着していますよね。
学習習慣は、日常でおこなう生活習慣と同じく、幼児期の子どもに「勉強することは当たり前」だと思わせることがポイントです。
日常生活のなかでなにげなく身につけ、長く定着した習慣と、学習習慣を同じように「当たり前」に身につけられるようサポートしていきましょう。
【参考情報】幼児期および児童期における学習意欲の形成
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幼児に学習習慣を身につけさせる方法
幼児期から学習習慣をつけるための取り組みをスタートするといっても、いきなり机に向かってワークなどに取り組むというわけではありません。
まずは学習習慣をつけるための基礎を身につけていきましょう。
・毎日同じ時間・同じ場所に座る
・椅子に座るときや字を書くときの正しい姿勢
・勉強道具の出し方、片づけ方
まずはこのような簡単なことからはじめてみてください。
自分で勉強道具の管理ができることは、身の回りのモノをきちんと整理できる能力につながります。
正しい姿勢を身につけることは、体幹を鍛えることにもつながります。
このように、学習習慣を身につけるなかで、日常生活にも役立つスキルを習得していくのです。
基本ができればいよいよ学習へ
学習習慣を身につける基礎的な行動ができるようになってくれば、いよいよ実践に入っていきましょう。
基本的には「短時間」でとにかく「簡単」な問題を「小分け」にしてやっていくことを意識してください。
簡単な課題をたくさんこなして自己肯定感をアップ
画用紙などに線を引く、円を描く、線をなぞるなどの簡単な動作からおこなっていきましょう。
できるだけ簡単な課題を与えることで、達成感を得やすくします。
このような方法を「スモールステップ法」といい、学習習慣が身につく前の幼児には適した勉強スタイルです。
学習時間の目安は「年齢プラス1分」
幼児〜小学校低学年ごろの子どもが集中できる時間は、勉強だけに限らず、年齢にプラス1分した程度だと言われています。
3歳なら4分、4歳なら5分程度ですね。
このようなことに鑑み、勉強する時間は数分程度からはじめ、子どもの様子を見ながら少しずつ伸ばしていきましょう。
事前にお子さんの年齢プラス1分で終わる程度の問題を、いくつか考えておいてあげてもよさそうです。
【参考情報】幼児期の「習慣づけ」のメリットや方法を解説
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学習習慣を身につける環境づくり
幼児期の子どもに学習習慣を身につけさせるためには、適切な環境づくりも重要です。幼児期に適した勉強スタイルを定着させるために、具体的にどのようなことを意識すればいいかについて紹介します。
勉強する時間帯と場所はいつも同じにする
学習習慣を定着させるには、勉強をする時間と場所を固定させましょう。
毎日の学習内容は変化しても構いませんが、場所と時間帯だけは固定させるようにしてください。
子どもの様子やその日の状況に応じて勉強をする場所や時間帯を変更していては、習慣として定着化させることは難しくなりそうです。
習慣化させられたとしても、かなりの時間を要する可能性も出てきます。
時間に関してはあまり厳密に考えず、おおよその時間帯だけ決めておけば、不意な予定変更などにも対応しやすくなるでしょう。
最初のうちは、毎日決まった時間になったら同じ場所に座って遊ぶなどからはじめ、少しずつ習慣づけしていくとよさそうです。
学習習慣をつけるなら「リビング学習」がオススメ
子どもの学習習慣をつけるためと言っても、幼児期の子どもがひとりで勉強をする環境はハードルが高すぎます。
幼児期の子どもは集中力が続かないだけではなく、孤独感や寂しさを強く感じてしまいがちです。孤独や寂しさのせいで学習習慣がつかないどころか、勉強をイヤなモノと思いこんでしまう可能性も出てきます。
勉強は「リビング学習」と呼ばれるリビングやダイニングがオススメです。
勉強は子ども部屋や勉強専用スペースのほうが集中できそうなイメージがありますよね。
しかしリビング学習は、家族の存在を常に感じられることから、子どもたちは安心感が得られ、その結果勉強への集中力が高まるとも言われています。
子どもが勉強している近くに保護者がいることで、子どもはすぐに質問をできる環境が整います。保護者側は、子どもが困っていたり間違ったりしているときにすぐに気がつけて、速やかにアドバイスができるメリットもあるのでオススメです。
子どもだけに勉強をさせない「親子一緒」スタイル
リビング学習をさらに効果的にし、幼児期の子どもの学習習慣をつけさせるためには、「親子で一緒に」のスタイルを取り入れてみましょう。
勉強する時間が来たら、親子で一緒にテーブルの片づけをおこない、勉強の準備をして席につく。そして「親子で一緒に」勉強をはじめてください。
親が一緒に作業・勉強する姿を見て、子どもは無意識に親の真似をしようとするかもしれません。そうなれば学習習慣もつきやすくなるのではないでしょうか。
毎日同じ時間・同じ場所で「親子で一緒に」作業や勉強をする習慣がつきはじめれば、「一緒に勉強しようか」などと、子どもが楽しい気持ちになれる声掛けもできそうです。
「親子一緒に」というスタイルでは、親は子どもの見守り役に徹する
親が一緒に席につくことは、きっきりで子どもの勉強を見るイメージがあるかもしれません。
しかし「親子一緒に」スタイルでは、親は子どもを温かく見守ることが最重要課題となります。
保護者と一緒だと怒られるなどと感じた子どもは、勉強嫌いになってしまう可能性があります。
そうならないために、親は読書や書き物など、何かしら別の作業をおこなうといいでしょう。
ただし見守ることを忘れないようにしてください。
せっかくのリビング学習で子どもを孤独にしてしまいかねませんので要注意。
保護者と一緒だと怒られるなどと感じた子どもは、勉強嫌いになってしまう可能性があります。
そうならないために、親は読書や書き物など、何かしら別の作業をおこなうといいでしょう。
ただし見守ることを忘れないようにしてください。
作業に集中し見守りを忘れると、せっかくのリビング学習で子どもを孤独にしてしまいかねません。
【関連記事】リビング学習をするための収納、どうすればいい?
学習習慣の基礎固めは幼児期からはじめよう
幼児期からの学習習慣づけは、勉強することを当たり前にするための大切な役割を担います。
しかし、ただ勉強をさせることだけが学習習慣を身につけることではないことがおわかりいただけたでしょうか。
まずは勉強よりも、毎日同じ時間・場所に席につくことを目標にスタートしましょう。
取り組む内容は、お絵描きや絵本を読むなどの遊びの延長でかまいません。
幼児の学習習慣づけに重要なことは、とにかく「楽しい」ことです。
だからこそ、親子一緒に席について楽しい時間を共有するように努めてください。
慣れてくれば子どもの好みや向き・不向きに応じた学習にスライドしていきましょう。
ただしムリは禁物です。簡単にクリアできるレベルの課題を、毎日数分だけ継続していけば、自ずと学習習慣が定着していきます。
学習習慣が定着すれば、「なぜ勉強するのか」などの疑問を感じることすらなくなるはずです。
学習習慣の定着は、長い目で見ると子ども自身の強い武器となります。
頑張って学習習慣が定着する環境を保護者が作ってあげてください。
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