子どもの自己効力感を高めるには?
執筆者:熊野貴文(幼児教室ひまわり塾長)
最終更新日 2023年07月08日
お子さんには積極的にチャレンジしてほしいと願う親も多いかと思います。
自ら積極的にチャレンジできることは、子どもの成長にとっても非常に重要と言えるでしょう。
そんな時に役立つのが「自己効力感」です。
自己効力感が高いことで、子どもは失敗を恐れずに果敢に行動できます。
しかし、この自己効力感をどのように高められるのか分からず、悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
そこでこちらのページでは、子どもの自己効力感を高める方法について、自己肯定感との違いも含めて解説します。
子どもの自己効力感を高めて、果敢にチャレンジしてほしいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
そもそも自己効力感とは?
自己効力感とは、カナダの心理学者であるアルバート・バンデューラにより提唱された概念で、課題や問題に直面した時に「自分の能力であれば乗り越えられる」と確信することを指します。
自己効力感が高い子どもの場合、自分に対して自信を持っているため、失敗を恐れずに果敢にチャレンジします。
逆に自己効力感が低い場合、「何をやってもできそうにない」と思いがちのため、目の前の問題から目をそむけてチャレンジしなくなってしまうでしょう。
この自己効力感はどの年齢層でも存在しており、特に子どものうちから自己効力感を高めることで、その後の人格形成や学力の向上などにも良い影響を与えると言われています。
【参考情報】自己効力感研究の現状と今後の可能性
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自己効力感と自己肯定感との違い
自己効力感と似た言葉に「自己肯定感」がありますが、両者には明確な違いが存在しています。
自己肯定感は、「自分は価値のある存在」だと認められる気持ちのことを指します。
自分自身の能力などに関係なく自分を認められるため、多少苦手なことや欠点があったとしても自分を肯定できるのが大きな特徴です。
一方で自己効力感の場合は、自分の能力を信じられる気持ちのことを指します。
そのため、自己効力感が高いことで、「自分の能力であれば成功できる」という自信をもち、果敢に挑戦できるのです。
このように自己肯定感は「自分の存在自体」を認める考えであるのに対し、自己効力感は「自分の能力」を信じる考えという違いがあります。
ただし、一般的には自己効力感が高いほど自己肯定感も高い傾向にあります。
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子どもの自己効力感を高めるポイントとは?
それでは、子供の自己効力感を高めるポイントについて解説します。
具体的には以下のポイントが重要です。
・成功体験を細かく積み重ねる
・他人の成功モデルを参考にする
・子どもの良いところを褒めてあげる
・心身を安定させる
1つずつ解説していきます。
成功体験を細かく積み重ねる
成功体験を積み重ねていくことで、自分の能力に確信を持つことができ、自己効力感の向上に繋げられます。
しかし、自己効力感が低い子どもにいきなり大きな課題に挑戦させても、挑戦すらしない可能性があるのです。
そのため、まずは小さい課題から取り組んでいき、成功体験を細かく積み重ねていく必要があります。
例えば勉強の場合、まずは1日30分だけでも机に向かって勉強するというように、小さな行動を継続するようにしましょう。
複数回達成できるようになれば、「自分にもできるんだ」という感覚が強くなり、徐々に自己効力感が高まっていきます。
他人の成功モデルを参考にする
実は自己効力感を高めるのには、他人が上手くいっている様子を見て、自分もできるだろうというイメージを沸かせることが重要です。
子どもは親が思っている以上に他人のことをよく観察しており、そこから影響を受けることが多くあります。
例えば、学習塾などに通わせている場合、他の子が頑張って勉強した結果良い成績を出している様子を見ることで「頑張ればこれだけ良い結果を出せるんだ」と感じ、自己効力感を高めるのに役立ってくれます。
ただし、注意点としては他人と比較して「全然できていない」と叱責することは避けましょう。
自分の能力に自信が持てなくなり、自己効力感が低くなってしまう恐れがあります。
あくまで、成功の見本として他人を参考にし、良い刺激をもらうという考え方が大切です。
子どもの良いところを褒めてあげる
子どもにとって他人から自分の良い点を褒められることは、素直に嬉しいものです。
そして、子どもの良いところを褒めることで、その成功体験が脳に深く刻まれ、自己効力感の向上につながります。
もし子どもが失敗してしまった場合も、結果だけを見るのではなく、チャレンジした過程を褒めてあげることが大切です。
そうすれば、自分自身の良い面にフォーカスする癖がつき、自己効力感をより高めることができます。
心身を安定させる
自己効力感は、ポジティブな精神状態の時により高くなりやすいと言われています。
実際に、習い事の発表会の前など緊張する場面において、成功している自分をイメージしポジティブな感情を引き出すことで、自己効力感を高めて自分に自信を持たせることができるでしょう。
しかし、体調が悪かったり、精神的に疲れている状態だとこうしたポジティブな精神状態を保ちにくくなります。
そんな時には、優先して体や心を休ませるようにしましょう。
休むことに罪悪感を覚える方も多いでしょうが、自分の力を発揮するためにも疲れた時に休息することは必要不可欠です。
普段から心身を安定させられるよう、睡眠をしっかり取るなど生活習慣も整えることも大事です。
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子どもの自己効力感を高めるのにおすすめの行動
最後に、子どもの自己効力感を高めるおすすめの行動について解説します。
おすすめは「家事」を子どもにやってもらうことです。
家事と自己効力感の関係について、日本家庭科教育学会大会での発表によると、「すべての生活技能と自己効力感の間で有意な正の相関がみられ、生活技能が高いほど自己効力感が高くなるという結果が得られた。」という報告がされています。
この発表によると、子どもは生活技能をクリウエイティブなものと捉えているようで、細かい家事を次々とこなしていくことで成功体験を積み重ね、失敗を恐れない意識に繋がっているようです。
家事は日常生活を送る上で必須であり、子どもの小さな課題として手軽に取り組めるものです。
自己効力感を高めるのに、家事は非常におすすめの行動と言えるでしょう。
【参考情報】自信をもたせ、頑張りのきく子を育てる
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失敗を恐れずに果敢にチャレンジできる
子どもの自己効力感を高めることで、失敗を恐れずに果敢にチャレンジできるという大きなメリットが存在します。
この自己効力感を高めるためには、小さな成功体験を積み重ねたり、子どもの良いところを褒めてあげるなど、子どもが自分に自信を持てる取り組みを行うことが大切です。
今回の内容を参考に、子どもの自己効力感を高め、さまざまなことに積極的にチャレンジできるよう成長をサポートしてあげましょう。
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