公文式とそろばんの比較:計算が早くなるのはどっち?
執筆者:熊野貴文(幼児教室ひまわり塾長)
最終更新日 2022年10月10日
子どもの計算が早くなるための方法(公文式か?そろばんか?など)について、灘中学、大阪大学医学部に合格した私と、お子さんを灘中学合格へと導いた当教室の柴田先生の教育をもとに、ご紹介いたします。
私の教室に来てくださる保護者の方のなかには、「計算が早い子に育てたい」というご要望が本当に多いです。
実際、以下のようなご質問がたくさん届きます。
■ S様からのご質問
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熊野先生
いつもお世話になっています。
うちの子は小学校1年生なのですが、
計算が早い子に育てたいです。
と言いますのも、
親の私自身が計算がとても苦手で、
受験で足を引っ張っていたからです。
計算が早くなるために、
そろばんか公文式で迷っています。
どちらが良いでしょうか?
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たしかに中学受験の世界では、計算が遅いと致命傷になります。
計算問題が解けないだけでなく、普通の文章題のなかでも計算は必須ですからね。
そこで、このページでは、
1.お子さんが幼児期の場合
2.お子さんが小学校低学年の場合
3.お子さんが小学校高学年の場合
これらの3つの状況について、それぞれお話していきましょう。
1.お子さんが幼児期の場合
まずお子さんが3歳くらいから、6歳くらいまでの幼児期の場合です。
この時期はまだ本格的な勉強が始まっていませんので、将来計算が早くなるためには、「計算の下地」をしっかりと作ることが重要です。
そこで意識して頂きたいことが、「計算が早いか遅いかの以前に、数字が好きか、嫌いかというのが最初の壁になってくる」ということです。
子供は興味があることに対しては脳をフル稼働して向き合います。
ですから、計算の前段階である数字を好きにさせることが重要です。
数字に興味を持っている子は、将来計算が早くなります。
逆に数字に興味を抱かない子は、計算を教えても習得が遅いです。
数字が最初の関門となっていくわけですね。
さて数字を好きになるためには、どうすれば良いのでしょうか?
一番手っとり早く確実なのは、数字に対する接触回数を増やすということです。
壁に数字のシートを貼っておいたり、数字の書いたカードで遊んだりなど、とにかく数字に触れさせるのです。
人間の脳は頻繁に見るものに対して、親近感を抱く傾向にあります。
これを単純接触の法則と言うのですが「何度も目にするものを好きになる」という性質があります。
ですから、お子さんの周囲の環境を数字で囲むことが効果的です。
数字を好きになることができれば、将来計算が早くなる可能性が高いです。
幼児教室ひまわりの講師で、お子さんを灘中学に合格させ、算数オリンピックで金メダルを取らせた柴田先生も、「とにかく数字に触れさせる機会を作っていた」とおっしゃっています。
地道な努力が実を結んで、大きな成果に結びついていたのだと言えますね。
【参考情報】数量の指導:子どもの生活に根ざした数量の活動
2.お子さんが小学校低学年の場合
お子さんが小学校低学年の場合は、公文式でトレーニングをするのが一番効果が期待できると思います。
ちなみに、「そろばんで計算が早くなる」という方もおられるのですが、私はそろばんよりも公文式の方が良いと考えています。
その理由は3つあります。
1つ目の理由は単純なのですが、「私の友達のなかに、そろばんをやっていた人がほとんどいない」ということです。
灘中学の同級生、医者の友人など、そろばん経験者はほぼ皆無です。
2つ目の理由は、計算のなかでも「分数の計算」「あまりのある割り算」などに関しては、そろばんでは対応できないということです。
そろばんで対応できるのは、足し算、引き算、かけ算、割り算、小数の計算となりますから、小学校4年生以降の難しい計算には対応できないことになります。
3つ目の理由は、そろばんの目的が暗算にあるということです。
頭のなかにそろばんを思い浮かべると暗算ができるようになりますが、計算問題と言うのは、暗算だけではありません。
暗算に早くなることよりも、複雑な計算を処理する力の方が、中学受験の世界では実践的です。
私はこのような3つの理由から、小学校低学年のお子さんにとって計算力を鍛える最善の手段は公文式だと思っています。
ただ、これは私がそうだったというだけですから、あなたのお子さんにも必ず当てはまるというわけではありません。
先ほどご紹介したお子さんが算数オリンピック金メダルの柴田先生は、ご自身もそろばん5段で、お子さんにもそろばんを教えておられました。
公文式には公文式のメリットがあり、そろばんにはそろばんのメリットがあります。
ですから、そこの部分について知り、どちらがお子さんに合っているかを、あなたが判断することが大切です。
計算が早くなるには、いろいろなルートがありますので、そこはお子さんに合った方法を見極めてあげると良いと思います。
最後に、お子さんが小学校高学年の場合の考え方です。
【関連記事】公文式の教材の最大の強みとは?
3.お子さんが小学校高学年の場合
お子さんが小学校高学年の場合は、中学受験を意識したトレーニングが必要になってきます。
実践的な問題をいかに早く、正確に解けるかが重要なのです。
そのための効果的なトレーニングは、「毎日20分計算を練習する」ということです。
大切なのは、「毎日」ということです。
「週に1回、2時間計算を練習する」というよりも、「毎日20分計算を練習する」という方がはるかに効果的です。
特に小学校6年生以降は、1日たりとも休んではいけません。
実際に私は小学校6年生のとき、1日計算を休んだら、「何かちょっとなまっているな」と感じたほどです。
それを取り戻すためには1週間ほどかかりました。
それほど継続の力は大きいのです。
また、計算を練習する際には時間を計ることが大切です。
100円ショップで売っているキッチンタイマーを使って、時間を正確に計ってください。
計算に関しては必ず時間を守り、その中で最善を尽くすことが大切。
問題集に指定されている時間内で解けるようにしてみてください。
それをしないと緊張感がないので、計算練習の効果が得られず、結果的に計算が早くなりません。
以上、計算が早くなるために何をすればよいのかを、子供の年齢ごとにお伝えしました。
これらは実際に私や同級生の仲間達がやってきた方法です。
参考にできる部分があれば、ぜひ取り入れてみてください。
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