0歳児への声かけは、効果あるのか?
執筆者:熊野貴文(幼児教室ひまわり塾長)
最終更新日 2022年10月02日
「0歳の子どもにどのような声がけをすれば良いのか?」ということについて、
幼児教室ひまわり塾長として、これまで1万人以上の保護者を指導してきた私の経験をもとに、解説いたします。
幼児教室ひまわりに通われる親御さんの大半の方は、お子さんの年齢が2歳~11歳くらいが多いのですが、
・わが子は0歳なのですが、少しでも早く教育を始めたいです
・まだ妊娠中なのですが今から学んでいます
・子供はまだ授かっていないのですが、将来のために読んでいます
という教育熱心な方もおられます。
そして、私の指導を受けている方の中にはお子さんが0歳の方もおられます。
そんな方の質問で一番多いのは、「0歳のわが子に対して、どんな声かけが有効ですか?」「わが子はまだ0歳なのですが、そもそも声掛けを積極的にするのは天才児にするために効果がありますか?」という内容です。
たしかに、まだ言葉も分からないのに、
・お前は天才だよ
・将来社会を背負って立つんだよ
・すごい力を持っているんだよ
こういうふうに声掛けをしたても、0歳の子供に伝わらないかもしれませんね。
こういう状況のなかで私はそれでも、0歳児への声かけを積極的にすべきであると考えています。
このあたりについて、詳しくお話していきましょう。
子供は右脳、大人は左脳
これは幼児教育の基本ですが、人間の大脳には右脳と左脳があります。
これらはそれぞれ働きが違います。
簡単にご説明すると、左脳は思考や言語を支配しており、右脳は感情やイメージを支配しています。
そして、右脳という場所のなかに潜在意識という領域があります。
この潜在意識に働きかけていくのが、幼児教育の目的の1つですね。
さて、この右脳と左脳のあいだには蓋のようなものがあると言われています。
(この蓋の名前を、脳科学の世界ではクリティカルファクターと言います。)
そして左脳(思考)が発達するにつれてクリティカルファクターが少しずつ閉じ、12歳くらいになるとそれが完全に閉じると言われています。
だからこそ、クリティカルファクターが空いている幼児期のうちに働きかけることが、子供の能力開発に有効なんですね。
ちょっと専門用語が並んだので分かりにくくなっているかもしれませんが・・・
要するに、「小さな子供は左脳が発達しておらず、右脳がむき出しになっている」ということです。
だからこそ子供は感情をむき出しにしたり、自分を制御できなかったりします。また、物事をイメージでとらえます。
囲碁や将棋を例に出すと、
大人の場合は、
・自分がこう打って、相手がこう来て、これに対してこう打って、次に・・・
というように、思考で攻めます。
でも、小さな子供の場合は、それが頭の中で映像でイメージされ、瞬時に次の打ち方を判断します。映像のようなもので瞬時に、直感的に打ち方をイメージするんですね。
右脳はすごいエネルギーを持っているので大人は簡単に子供に勝てないのです。
たとえば、将棋で有名な羽生名人。
彼が幼稚園児の時に、周囲の大人は誰も勝てなかったようですね。
おそらく当時の羽生名人のなかでは、鮮明な映像が見えていたのでしょう。
さて、話を0歳児に戻します。
今お伝えした理論をもとにすると、0歳児というのは、「左脳がほとんど発達しておらず、右脳がほぼ完全にむき出し」という状態だと言えますね。
これを理解できれば、0歳児への声かけの意義に関して方向性が見えてくると思います。
あなたもすでにお分かりかもしれません。
【参考情報】乳幼児教育
言葉よりもエネルギー
0歳児への声かけを考える際には、2つのポイント(コツ)があるといえます。
1つめのポイントは、「言葉も大切であるが、それに伴うエネルギーを重視する」ということです。
エネルギーというのは、
・声のトーン
・言葉から受ける明るい印象
・親御さんの表情
こういう要素を総合的に意味しています。
すでにお伝えしましたように、0歳児の脳は言語や思考を支配する左脳が未熟で、感情やイメージを支配している右脳がむき出しの状態となっています。
ですから言葉を理解できず、そこにあるエネルギーで感じ取ります。
つまり、声かけをしている親御さんの、
・お前は天才だよ
・生まれてきてくれてありがとう
という言葉自体よりも、その口調や表情をくみ取るわけです。
極端な言い方をすると、口先でどんなに声かけをしていても、感情が伴っていなければそのメッセージは伝わらないと言えます。
ですから、0歳児に声かけをしたり読み聞かせをしてあげる場合には、
・できるだけエネルギーを込める
ということを意識することが大切です。
声のトーン、その抑揚、表情など、言葉以外の部分にも気を向けてください。
私たちの教室の人気講師の大平先生(2人のお子さんは阪大医学部と京大医学部に現役合格)は、絵本の読み聞かせに関して、「絵本は感情の早期教育である」とおっしゃっています。
同じように絵本を読んだとしても、親がどのような気持ちで読むかによって、その意図が変わってくるということになりますね。
2つめのポイントは、「別に0歳児への声かけが特殊ではなく、同じことが11歳の子にも言える」ということです。
この記事の前半部分でお伝えしたように、12歳くらいまではクリティカルファクターが完全に閉じないという状況です。
つまり、お子さんへの声かけの際には、
・親御さんから受けるエネルギー
が説得力の要因になってくるのです。
代表的なのは、「勉強しなさいとお子さんに伝える状況」ですね。
親御さんの言葉のなかに、
・とりあえず勉強させていれば安心だからそういっているのか。
・本当に勉強の意義を理解して、そのようにいっているのか。
こういった違いを右脳で感じ取り、お子さんが判断するわけですね。
また、親御さんが口にする、「おまえは天才だよ。特別だよ」という言葉のなかにも、
・自分のことを本当に信じているのか。
・とりあえず、言っているだけなのか。
ということも感じ取るんです。
そう考えたら怖いですよね。
親御さんの言葉一つひとつを聞くたびに、「右脳」を通してその心の内側を見ているんです。
ですから、普段からしっかりと武装してお子さんの声かけをする必要があります。
子供はなぜ勉強する必要があるのか、
子供はなぜ天才だと言い切れるのか、
こういう部分に関しても、しっかりと詰めておくことが大切ですね。
「0歳児だけが特殊」というわけではない
今回の記事では、0歳児への声かけというテーマについてお伝えさせて頂きましたが・・・「0歳児だけが特殊」というわけではありません。
お子さんは親御さんの心の内側をしっかりと見透かしているといえます。
そういう意味では、普段から子育てについて学び準備していくことが大切ですね。
私の記事を参考に、お子さんへの接し方を工夫してみて下さい。
こちらのページでは、「0歳児の知育のための声かけのコツ」「0歳児への声掛けは効果があるのか?」という内容についてお話しましたが、幼児教室ひまわりでは、お子さまの脳を鍛える具体的な方法や難関中学に合格するための勉強法などを、オンライン講座やメールマガジンで公開しています。
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