中学受験と睡眠の法則
執筆者:熊野貴文(幼児教室ひまわり塾長)
最終更新日 2022年10月02日
「受験勉強の際には、子どもはどれくらい睡眠をしているのか?」と悩まれる親御さんも多いと思います。
そこで、このページでは、灘中学、大阪大学医学部に現役合格した私が、子どもの適切な睡眠時間について詳しく解説いたします。
幼児教室ひまわりの講義を受講されている方から、
「受験勉強の際には、睡眠はどうすれば良いですか?」
というご質問をたくさん頂きます。
私がメルマガや講義のなかで、
「中学受験のときに夜の1時半まで勉強していました」
と頻繁に言っていますのでそれに対するご質問ですね。
たとえば、
・朝の方が頭が冴えるのでは?
・朝型か夜型どちらを選ぶべき?
・夜遅くまで起きていて、成長は大丈夫なのか?
・眠くなったらどうしたら良いの?
このようなポイントが気になっておられるようです。
そこで、今回の記事では「受験勉強の際に睡眠をどうしていくか?」というお話をしていきましょう。
【参考情報】睡眠と学業の関係
黄金の睡眠時間について
私は中学受験、大学受験、医師国家試験という厳しいテストを戦ってきました。
自分で言うのもなんですが、かなりの勉強をしてきましたし、周囲にも賢い生徒たちがたくさんいる環境で過ごしました。
自分が経験してきたうえに、たくさんの優等生を見てきました。
その経験からお伝えしますが、
人間のベストの睡眠時間は・・・「ズバリ!6時間」です。
これは私自信が体を張って経験してきた結果であり、受験戦争で戦ってきた人たちも口をそろえて言っています。
5時間になると体がしんどくなり、疲れがたまっていきます。
逆に7時間以上眠ったとしても、回復の度合いは変わりません。
なお、医学的な視点から考察してみたとしても、6時間睡眠は理にかなっています。
人の睡眠のサイクルは1時間半で、
浅い眠り → 深い眠り → 浅い眠り
という波を繰り返しています。
つまり、1時間半で1セットですね。
ここで注目してほしいのは、「1つの睡眠サイクルの真ん中に深い眠りがある」ということなんですね。
ここで起こされると、深い眠りから突然起こされるのですごく寝起きが悪くなります。
つまり、サイクルが終わった時点で起きるのが効率が良いのです。
6時間睡眠であれば、『1時間半のサイクル×4回』という計算になりますから、とにかく寝覚めが良いんです。
ですから、受験勉強の世界では6時間睡眠が基本になります。
そして、数日間の短期的なスパートなのであれば、4時間くらいの睡眠でもよいかもしれませんが、受験戦争は長期戦になります。
長く続けるという意味も考えると、マラソンのように長期的に継続しやすいことが重要です。
そういう意味で考えても、6時間睡眠であれば、無理なく走り続けることができます。
これは中学受験も、それ以降の受験も同じと考えてください。
【参考情報】質の良い睡眠について
成長ホルモンの分泌
次に、「睡眠時間を削ることで成長ホルモンが出ないのではないか?」という疑問に答えていきます。
成長ホルモンは眠っている間に分泌されるホルモンです。
こんな話を聞くと、「寝ないと身長が伸びないのでは・・・」と不安になってしまうと思います。
たしかに成長ホルモンは眠っている間に分泌されます。
ですから、成長ホルモンを出すために睡眠をとることが大切です。
しかし、成長ホルモンが出るのは、「眠り始めてから約3時間」がほとんどだと言われています。
つまり、それ以降の睡眠時間はあまり成長ホルモンがでません。
ですから、6時間睡眠であれば、成長ホルモンの分泌に対して大きな影響はないと考えられます。
実際、私の灘中学の同級生も、みんな睡眠時間を削って、勉強してきた子たちばかりですが・・・成長には大きな影響があるようには見えないです。
ですから、中学受験のなかで睡眠時間を削ることについては、成長上も特に大きな弊害があるとは思えないですね。
朝型か夜型・・・どちらが良いか?
さて、睡眠時間6時間なら・・・いつに起きて、いつに寝るのが効率が良いのでしょうか?
朝型にするのか、夜型にするのか?
という選択ですね。
ちなみに、6時間睡眠なら、
・朝型:10時就寝、4時起床
・中間:12時就寝、6時起床
・夜型:1時半就寝、7時半起床
というパターンになります。
このうち私がオススメするのは夜型のライフスタイルです。
実際、私の灘中学の同級生たちも夜型の生徒が多いですね。
なぜ夜型が強いのか?
朝型と夜型を比較してみましょう。
朝型のライフスタイルの弱点は、
・絶対に眠らないといけない
・周囲が暗いのに起きないといけない
という2つの問題があります。
まずは前者の点から説明します。
朝型を継続していくためには、眠る時間を決めないといけません。
きちんと眠らないと、翌日に起きられないからですね。
眠れれば良いのですが、「寝たくても、なかなか眠れない」という状況も訪れます。
これはとてもつらいですし、
眠れない=ライフスタイルが崩れる
というリスクがあります。
次に後者の点について。
朝型を取るのであれば、起床時間は4時になります。
この時間は完全に真っ暗です。
周囲が暗いのに起きるのは、予想以上につらいです。
人の脳というものは、部屋に日差しが入ってきて目が覚めるようにできていますので、暗い中で起きるのは苦痛です。
朝型にはこの2つの弱みがあるので、
習慣として継続するのが、
結構大変になってくるのです。
これに対して夜型の場合は、
・疲れ切った状態で布団に入るので、眠りにつきやすい
・周囲が明るいので、起きる時の苦痛が少ない
・学校に行かないといけないので嫌でも起きる必要がある
という3つの強みがあるので、ライフスタイルが崩れにくいのです。
こういう側面があるので、多くの受験生が夜型を選び、実際にそういう生徒たちが受験戦争で勝ち抜いていくのです。
【参考情報】睡眠パターンと学業成績や心身状態は関連するか
朝は健康的、夜は不謹慎
最後に、少し偏見になりますが・・・
将来お子さんを医者にするには、
「朝は健康的」「夜は不謹慎」
こんなイメージを捨てることが大切です。
・朝は爽やかで健康的な時間
・夜はなんか不謹慎な時間
というイメージは多くの方に共通しています。
実際に私もそう思っています。
しかし、お子さんを医者にするには夜型というのは強い武器になります。
まずは、受験勉強で強いですし、
医者の仕事に関しても、夜型の世界の傾向があります。
夜遅くまで論文を読んだり、夜中に患者さんが来たりと・・・夜に仕事が入りやすいんです。
夕食が夜10時くらいになるのも、結構あたり前の仕事なんですね。
ですから、夜~夜中の時間を上手に使いこなすことが大切です。
そういう意味では、「朝は健康的」「夜は不謹慎」というイメージを捨て、中学校受験のうちから、遅くまで勉強する習慣を付けていくことが大切なんですね。
少し偏見っぽいお話なので、やや批判を受けそうな気もしますが・・・これは私の経験上正しいと思います。
ちなみに、この記事はあくまでも中学受験が始まる小学校5年生以降についての話です。
幼児期については朝型を推奨します。眠ってから成長に関わる色々なホルモンが出ますので、午後9時くらいまでには寝ておくことが重要です。
「受験時代は夜型」「幼児期は朝型」・・・180度違うスタンスになりますが、このあたりを器用に使い分けることも、重要ですね。
こちらのページでは、「中学受験と睡眠時間」「夜型か朝型のどちらが有利か?」というテーマについてお話しましたが、幼児教室ひまわりでは、お子さまの脳を鍛える具体的な方法や難関中学に合格するための勉強法などを、オンライン講座やメールマガジンで公開しています。
もっと深く学びたいという方は、ぜひ私たちのメールマガジンにご登録ください。
この記事を読まれた方にオススメのコラム