調査結果:東大生220人が、両親に「勉強しなさい」と言われた1日の回数とは?

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調査結果:東大生220人が、両親に「勉強しなさい」と言われた1日の回数とは?

現役東大生220人アンケート調査
「両親に勉強しなさいと言われた1日の回数」
「東大生が小学生、中学生の時に勉強したいと思った理由」

現役東大生の男子72%、女子55%が小学生の時に両親から「勉強しなさい」と言われていたことが判明。「東大生は勉強が好き」という巷の噂って本当なのでしょうか?

ひまわり教育研究センターは、2022年2月、現役東大生220人に「子供のころの過ごし方」について複数のアンケート調査を行いました。

今回は「小学生、中高生時代、あなたはなぜ勉強をしたいと思ったのですか?」「小学生の頃、両親から勉強しなさいと言われたのは1日何回くらいありましたか?」というアンケート調査の結果を報告いたします。
(調査会社:ゼネラルリサーチ株式会社 調査時期 2022年2月17日~2月19日)

今回の調査は、「東大に合格するお子さんはどんな理由で勉強をし、保護者の方々はどのようなかかわりをしていたのか」ということにフォーカスし、現役東大生の小中高時代の勉強に取り組む姿勢を明らかにしました。また、調査対象を男女均等にしたことで、男女別の意識の差も浮き彫りにすることができました。お子さまの学びのサポートをされている保護者の方々にとって、大変興味深い結果となりましたことをご報告いたします。

<調査の背景>

「学力の高い子どもは、勉強が好きで自らすすんで勉強をする」そのように考えておられる保護者の方は多いのではないでしょうか。我が子が自ら進んで勉強しない場合、「何度も声かけしないとうちの子は勉強してくれない」と悩まれたり、「我が子に勉強する意欲をもっと持ってほしい」「勉強を好きになってほしい」「声かけしなくても自ら勉強する子供になってほしい」と望まれる保護者の方は多いように思います。当研究センターに相談される保護者の多くの方もそのように考えておられます。
そこで、今回は、現役東大生が小学生時代、「両親から1日何回くらい勉強しなさいと言われていたのか」「小学生、中学生時代になぜ勉強したいと思ったのか」というアンケート調査を実施いたしました。調査の 結果より、 現役東大生の小中高時代の勉強の取り組み方のリアルな実像が浮き彫りになったと思います。

この情報が、多くの子育て中の保護者の方にとって有益な情報であり、お子様の勉強のサポートについて新たな視点となって頂けるのではないかと考えます。

<調査結果のポイント>

・現役東大生が小学生のころに勉強したいと思った理由の一番多い回答は「いい点数をとるのが楽しかったから」。
・現役東大生が中学、高校生のころに勉強したいと思った理由の1番多い回答は「いい点数をとりたかったから」。ついで「惰性」「いきたい大学があったから」が多かった。
・「小学生の頃に両親から勉強しなさいと言われたことがある」と回答した現役東大生は、全体で64%。男子だけでみると72%。
・「小学生の頃に両親から勉強しなさいと言われたことがない」と回答した現役東大生は、全体の24%。
・1日5回以上両親から「勉強しなさい」と言われてた現役東大生の男子は16%。

<調査対象について>

調査対象220人のうち、男子は106名、女子は101名、回答しないは13名。文系、理系(医学部以外)、医学部の3区分の男女比率はグラフの通りです。男女、学年に偏りのない非常にバランスのとれた調査対象であるといえます。

円グラフ
棒グラフ
<調査結果の詳細>

Q「小学生のころあなたはなぜ勉強したいと思ったのですか?近いものを2つ選んでください。」

現役東大生に「小学生のころあなたはなぜ勉強したいと思ったのですか?」という質問をしたところ、一番多かったのは「いい成績をとるのが楽しかったから」という回答でした。ついで「勉強が楽しかったから」「新しいことを学ぶのが楽しかったから」「親が上手に勉強させてくれたから」「親に褒められたかったから」「惰性(なんとなく)」という回答が多く寄せられました。小学生の子供たちは、テストの結果、両親が上手に勉強を促してくれたり褒められたこと、新しいことを学ぶ楽しみが勉強をしたいと思う理由になっていることがわかりました。

なぜ勉強したいと思うのか?

男女別で回答を比較してみましょう。
男女ともに、勉強をしたいと思った一番の理由は「いい成績をとるのが楽しかったから」であることがわかります。
男子が女子に比べて回答が多かったのが、「親が上手に勉強させてくれたから」でした。次に比較的多かったのが、「勉強が楽しかったから」「新しいことを学ぶことが楽しかったから」でした。
女子が男子に比べて回答が多かったのは「周囲の評価が嬉しかったから」でした。次に、女子が多く選んだのは、「親に叱られるのが嫌だったから」「惰性(なんとなく)」という結果になりました。

男子は、「親御さんが上手に褒めて勉強させ、勉強の楽しみや新しいことを学ぶ好奇心を育てること」が勉強への意欲に繋がることがわかります。女子は、周囲の他者との比較に意識がいきやすいのか、「周囲の評価を得たい、叱られたくない」という気持ちが勉強への意欲に繋がることがわかりました。

横グラフ

Q. 「 中学、高校時代、あなたはなぜ勉強したいと思ったのですか?近いものを2つ選んでください。」

現役東大生に「中学、高校時代、あなたはなぜ勉強したいと思ったのですか?」という質問をしたところ、一番多かったのは、「いい成績がとりたかったから」でした。次に多く回答したのは「行きたい大学があったから」「惰性(なんとなく)」でした。
勉強をしたいと思った理由は、小学生のころと同じく「いい成績をとりたい」ということがわかりました。小学生のころとの違いは、「行きたい大学があったから」という将来の目標が勉強への動機付けになることがわかります。また、勉強したいという理由に「惰性(なんとなく)」と回答する東大生が増えました。勉強がすでに習慣化していることを示していると考えられます。

横グラフ2

男女別で回答を比較してみましょう。
男子は女子に比べて「勉強が楽しかったから」との回答が多く、女子の2倍程度います。
一方、「行きたい大学があったから」の女子の回答が35%と男子に比べてかなり多くなりました。男子の倍近い数の女子が回答にあげています。東大を目指す女子学生の高い目的意識が伺えます。

横グラフ3

Q. 「小学生の頃、両親から勉強しなさいと言われたのは1日何回くらいありましたか?」

両親から「勉強しなさい」と言われたことがないのが、全体の24%。
毎日ではないが時々言われたというのが最も多く、全体の30%。
両親から「勉強しなさい」と言われていたのは「時々言われた」を含むと全体の64%。
1日5回以上言われていたのは、全体の13%となりました。

「1日5回以上両親から勉強しなさいと言われていた」と回答した男女29名のうち、「小学校時代に勉強したいと思ったのはなぜですか」という質問では「新しいことを学ぶのが楽しかった」「親に褒められるのが嬉しかったから」「いい成績をとるのが楽しかったから」「親に叱られるのが嫌だったから」と回答していました。
親に5回以上勉強をしなさいと言われている子供たちの勉強の動機が「新しいことを学ぶのが楽しかった」というのは大変興味深いと思います。「新しいことを学ぶのは好き」だけれど、「勉強はなかなか自分からできない」という子供の姿の本質をついている結果だと思います。

横グラフ4

男女別で回答を比較してみましょう。
顕著な差は、「勉強しなさいと言われたことがない」というのが、男子は18人、女子は33人と倍近い開きがあったことです。
「毎日ではないが時々言われた」「覚えていない」と回答した男女の数は同じでした。
男女別にみると、「両親から勉強しなさいと言われていた」男子は76人(72%)。女子は56人(55%)。東大生の男子の中でも毎日5回以上「両親から勉強しなさい」と言われていた子供たちが17人(16%)いたことは大変興味深いと思われます。

横グラフ5
<考察>

現役東大生が勉強したいと思った理由は「いい成績をとりたかったから」がどの年代を通じても一番多い回答でした。

保護者の方から「子供の勉強のモチベーションをあげるにはどうすればよいのでしょうか?どういう声かけが良いですか?」というご相談を受けたときに、私は「一番直近のテストで良い点数をとること」が一番のモチベーションに繋がるとアドバイスすることが多いのですが、それを裏付ける結果となりました。

子供にとって、たとえ勉強はやりたくなくても、いい点数をとるのはとても嬉しいことです。保護者の方は、子供の勉強のモチベーションをあげるには、「お子さんが一番簡単に点数があがるところ」を見つけてあげ、点数をとれるようにサポートしてあげることが、重要であるといえます。

また、小学校の頃に将来の目標や行きたい中学校を目指して勉強をするというのは少数派であるということも調査からわかりました。「勉強が楽しかったから」「新しいことを学ぶのが楽しかったから」という回答のように学ぶ楽しさを教えてあげたり、「親が上手に勉強させてくれたから」「親に褒められたかったから」という回答のように保護者が上手に勉強させたり褒めたりと、勉強を上手にさせることが重要だといえます。また、女子は男子に比べて精神的な成長が早いからなのか、周囲との比較が勉強への意欲に繋がることもわかりました。また、男子は女子よりも、「勉強しなさい」という声かけが必要であることも判明しました。

中高生になってくると、勉強の動機として大学を目指すという目的意識が芽生えることもわかりました。同時に、「惰性(なんとなく)」の回答が増えました。
「惰性」というのは一見意欲がなさそうに感じられるかもしれませんが、実はとても大事な感覚だと考えられます。すでに勉強が日常生活の入浴や歯磨きなどと同じレベルに「毎日やるべきこと」と習慣化されていることと、「ストレスなく勉強ができること」を意味しています。何かのブレーキがかかってしまうと、習慣は止まってしまいます。「勉強は好きでなくても、嫌いでなければよい」のではないでしょうか。一旦進みだしたものをやめたいと思うほどの力がなければ惰性で子供たちは勉強をし続けてくれるといえます。

我が子には「勉強を好きになってほしい」と思われるかもしれません。でも、もし勉強が好きでなくても、いい点数をとること、勉強は嫌だという強い感情がなければ、子どもたちは勉強をし続けてくれるということが調査から判明しました。
保護者の方は、上手に声かけして勉強を促し、新しいことを学ぶ楽しみや喜びを感じさせてうまく褒めて、勉強させ上手な親になってほしいと思います。

そうして、お子さんの勉強へのやる気を育ててあげ、自ら学ぶ子供へと成長するサポートをしてあげてほしいと思います。

<調査を終えて>

今回の調査は、「東大生や優秀なお子さんは勉強しなさいと言われたことがない」というよく聞くフレーズを覆す結果となりました。
今回の結果が得られた一つの要因は調査の質問にあると思います。

質問が「あなたは勉強しなさいと言われていましたか?」であれば、回答は「いいえ」か「はい」の二択であり、どちらに回答するかは回答者の主観によるものが多くなります。例えば、ドラえもんののび太くんほどひどくは言われていないと感じた場合は、回答者は「いいえ」を選択するのではないかと推測できます。

そこで、今回の調査の質問は「勉強しなさいと言われたのは1日何回くらいありましたか?」としました。そうすることで、回答者は主観ではなく、回数を考えることでより客観的な回答が得られたのではないかと思います。

この「優秀な子供は勉強しなさいと言われたことがない」というフレーズは、多くの子育て中の保護者の方を苦しめるフレーズだと私は思ってきました。
それは、「優秀な子供は勉強しなさいと言われない」のに比べ、「我が子は自分から勉強しない」という我が子に対するストレス、「そういう我が子をみているとつい我慢できずに、勉強しなさいと言ってしまった」という罪悪感のストレスです。そんな二重のストレスを生んでしまうフレーズだと思っています。

現に、私が教育相談を受ける保護者の方に「私も我が子に「勉強しなさい」と言っていましたよ」と言うと、安堵される方がとても多いのです。自分から進んで勉強に毎日取り組む小学生は極めて稀だと思っていただければよいと思います。

「勉強しなさい」という言葉は適切なタイミングでうまく優しく声かけしてあげれば、子供たちに届く言葉です。叱ったり、語気を荒げて言わなければよいのです。多くの保護者の方が、上手に「勉強しようね」と子供たちに伝え、勉強させ上手な親になっていただけることを願います。

  ひまわり教育研究センター     
   所長 上田尚子

<まとめ>

•いい成績をとることが一番の勉強のモチベーションにつながる。
•役東大生の多くは、小学生の頃に親から勉強しなさいと言われている。つまり、「自ら進んで勉強している」という子だった現役東大生は少数派。
•男子は女子よりも声かけが必要。

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