第4回:貯金のように信頼を貯めていく
これからの時代はアカデミックスキル(学力)だけでなく、ライフスキル(生きる力)もとても重要になってきます。
ですが、ライフスキルと言ってもたくさんあります。
それらを一つずつ身につけなければいけないのですが、その前に、“土台”を作っておく必要があります。
そこで今回のコラムでは、ライフスキルを身につける前の大切な土台作りについてお話しようと思います。
子供の頃から信頼を貯めていく
その土台とは、「信頼の蓄積」です。
これからの時代に求められる優秀な人材には、「信頼」というものが、大きなポイントになってきます。
信頼を得られる人間が、社会で活躍するトップレベルの優秀な人材となるのです。
そして信頼は、貯金のように蓄積するものです。
ですので、子供の頃からコツコツ信頼を貯めてきた者は、社会に出る時には、
強固な土台が出来上がっており、成果を出しやすくなります。
もちろん今の時代でも信頼は重要ですが、これからの時代はより一層、優先度が高くなるでしょう。
この理由の一つに、「情報化社会」が挙げられます。
現代は昔に比べて情報が多くなり、これからも、さらに多くなります。
情報が多くなると、「情報の選択」に困るようになります。
情報がたくさんあり、どの情報も良く見えるので、どの情報を選択すれば良いか難しくなります。
実際に今もそうではないですか?
次から次へと最新の教育方法が出てきたり、
右脳が大切というノウハウもあれば、左脳が大切というノウハウもあります。
一体これらの情報を、どんな基準で選んでいけば良いのか…
情報の選択に困りますよね。
そんな時、あなたならどのような基準で選択しますか?
おそらく「信頼」ではないでしょうか?
情報を発信している人や企業の実績を見たり、人柄や性格を見たりして、
「この人なら、、、」
「この企業なら、、、」
「この商品なら、、、」
という感じで、信頼を基準にして選択していると思います。
今の若者世代は特に、その傾向が強いです。
情報の収集源が、テレビや新聞からネットに移行し、
さらには、一般的なサイトよりも、友人や知人の情報に移行しています。
Facebookに流れてくる情報や、Twitterで拡散された情報。
そして、ブログやYouTubeなど。
実際にGoogleの検索も、以前の3分の1くらいに減ってきています。
つまり、
知らない専門家の情報よりも知っている人の専門的な情報を、選択しています。
その方が信頼できるからです。
医者の世界でもこのような現象が起きています。
医者が患者さんに診察をしても、
「先生、でもネットではこう書いてあったんですけど」
というように反論されることもあります。
この患者さんは、医者よりもネットの情報を信頼しているからです。
これが現実です。
ですので医者も、今まで以上に患者さんから信頼を得なければいけないのです。
では、信頼を得られる人になるにはどうすれば良いのか?
あなたはお子さんに今から、どのような教育をすれば良いのか?
信頼を得るために必要なもの
信頼を得られる人間に育てるために、あなたがお子さんに対して今から教えるべきことは、
「自分の失敗を隠してはいけない」
ということです。
ここ数年、政治の世界でも経済の世界でも、芸能の世界でも、不祥事のニュースがとても多かったと思います。
・森友問題や加計問題などの国会の不祥事
・東芝、三洋電機、タカタ、三菱自動車、スバル自動車、スルガ銀行、DeNAなどの大手企業の不祥事
・芸能人のスキャンダルなど
これらは簡単に言うと、自分の失敗を隠していたのです。
国民や顧客に嘘をつき、隠蔽(いんぺい)していたのです。
ひょっとすると、これらは、今までもずっと行われてきたことかもしれません。
ですが今の時代では、簡単に嘘がバレ、見破られ、その情報は拡散されていきます。
そして一瞬にして、信頼を失っていきます。
ただ、このような事態を招いたきっかけはシンプルです。
「自分の失敗を隠したから」
です。
「失敗の捉え方」の教育も兼ねる
ニュースで報道されるように、大人でも失敗を隠したがります。
失敗をすると、「認められなくなる」と思っているからです。
でもこれは、本当でしょうか?
失敗をすると、周囲から認められなくなるでしょうか?
確かに失敗をすると、“一時的”には、“評価”が下がるかもしれません。
ですが、その失敗のおかげで新たな学びがあり、再度挑戦することによって大きな成果を出すことができ、
最終的に信頼を得られる場合もあります。
本来、失敗は人を成長させるので、失敗と成功はワンセットです。
ですから、失敗をすることで、認められなくなるというのは、実は幻想だともいえるのです。
さらに言うと、
自分の失敗を隠す人よりも、自分の失敗を素直に認める人の方が、信頼を得やすい時代になっています。
失敗を隠しても高確率でバレる時代です。
“隠した失敗”が明るみになれば、一気に信頼失います。
失敗しても素直に認めれば、逆に信頼される場合もあるのです。
むしろ、自ら失敗を認める方が信頼を得やすいです。
自分の非や弱みを客観的に理解して認めているので、嘘をつかない誠実さとポジティブな印象を与えることができます。
失敗は誰にでもあることを、多くの人は知っていますから。
ですが、子供にはまだ、その経験がありません。
「失敗するとお母さんに認められなくなる」
「失敗すると大人に認められなくなる」
「失敗すると友達が離れていってしまう」
ということを心配しています。
ですから子供は、失敗を隠そうとします。
そこでまずは、我が子に対して、
・失敗は悪いことではない
・失敗と成功はワンセット
という「失敗の捉え方」から教育していきましょう。
その際に親御さんは、「私はあなたの絶対的な味方である」ということを伝えましょう。
直接伝えても良いですし、それがわかるような姿勢を見せましょう。
これは毎日の日常で常に意識しておいてください。
こうして、失敗の捉え方も教えて、
「自分の失敗を隠してはいけない」
ということをきちんと教えてあげましょう。
これができていると、小さな頃からコツコツと信頼が蓄積されていき、
大人になった時には、社会で活躍できる土台ができています。
信頼は貯金のようなもので、貯めれば貯めるほど信頼のある人間になっていきます。
将来、社会で信頼を得られるトップレベルの人材になるためにも、今のうちから信頼を、コツコツ貯めておきましょう。
続きはこちら第5回:親子で共感力を高める方法とは?