第5回:親子で共感力を高める方法とは?

すでに社会は、
「縦の関係性」から「横の関係性」へシフトしています。

縦の関係性とは、上下関係が明確になっている、ピラミッド型組織です。
絶対的なルールとボスタイプのリーダーの指揮の下、下の者達は、指示どおりに受動的に動いていきます。

それに対して、横の関係性では、
もちろん最低限の上下関係はありますが、状況に応じてフラットな組織になります。
周りの能力を活かすリーダーの指揮の下、下の者達は協力し合い、柔軟に能動的(自主的)に動いていきます。

今後もより一層、横の関係性が強い時代となるでしょう。
ですので、トップレベルになる優秀な人材には、周りと協力して物事を進める、
「協働力」が重要になってきます。

協働力のメインは、コミュニケーション能力になります。
コミュニケーション能力自体は、その重要性をご理解いただいていると思います。
コミュニケーション能力の高め方なども、これまで私のメルマガなどでもご紹介してきました。

そこで今回のコラムでは、
コミュニケーション能力のもう少し深い部分である「共感力」について、お話したいと思います。
共感力は、お子さんにも必須な能力ですし、親御さんにもぜひ、身につけてほしい能力でもあります。

共感はコミュニケーションの基本

お子さまのコミュニケーション能力に悩まれる親御さんは、たくさんいらっしゃると思います。
これは社会に出ても同じであり、コミュニケーション能力に悩む社会人はたくさんいらっしゃいます。

そして、仕事で成果を出す人は、コミュニケーション能力が高い場合が多いのです。

ですがコミュニケーション能力と言っても、

・面白い話ができる
・軽快なトークスキル

というものだけではありません。

コミュニケーションの基本は、「相手への共感」です。
相手のことを共感することができたら、相手からの印象も良くなり、自然と会話も盛り上がり、
お互い良い人間関係が築きやすいのです。

たとえ性格が内向的で消極的であったり、人見知りであったとしても、
相手のことを共感できる「共感力」があるだけで、コミュニケーション能力は高くなるのです。

そしてこれは、親子の会話でも同じことが言えますよね。

お子さまと良好な関係を築くために、お子さまと上手にコミュニケーションを取るために、
親御さんはまず、この「共感」を意識した方が良いのです。

・お子さんがなかなか勉強に集中できないのはなぜか?
・お子さんが本当にやりたいことは何か?
・お子さんが本当に伝えたいことは何か?

などをまずは考え、お子さまに共感することで、見えてくるものがあるからです。

ですので、将来、お子さまが社会で活躍するためにも、
そして現在、お子さまと良い関係を築き、お子さまの能力を発揮させるためにも、
親子で共感力を鍛えていきましょう。

では、この共感力を鍛えるためには、何をすれば良いか?

共感力とは「想像する癖」

「共感力」を、もう少し噛み砕いて考えると、「想像」に行き着きます。

たとえば、私はタバコを吸わないので、本来であれば私は、タバコを吸う人の気持ちは共感できません。

ですが、もし相手とタバコの話で話さなければいけない状況になった場合、
私はある程度、盛り上がれると思います。

なぜかというと、私はタバコを吸う人の気持ちを想像することができるからです。

私は緑茶が好きなので、コンビニに行ってよく買いますし、自販機でも買いますし、
常時、ペットボトルのお茶を携帯しています。

これは、喉が乾くだけでなく、口元が寂しいという欲求もあり、軽い依存症であると、私自身は思っています。
タバコを吸う人も大半は、口元が寂しいという欲求や依存症になっています。

ですので、口元の寂しさや、依存症の部分では、私も同じような体験をしているので、その部分は共感できるのです。

タバコを吸う人と、タバコの話をする場合は、

・なぜ、この人はタバコを吸うのだろう?
・タバコの魅力は何だろう?
・自分にもタバコの魅力がわかる似たような体験はあるだろうか?
・依存という部分では、自分にとってのお茶かな?

というように、私は想像をしているのです。
この想像によって、タバコ自体の体験には共感はできないですが、同じような体験には共感することができます。
ですので、相手と上手くコミュニケーションを取ることができます。

これと同じように、親御さんもお子さんとの会話で、想像するようにしましょう。

・なんで我が子は勉強に集中できないのだろうか?
・自分が子供のころは、どんな気持ちだったかな?
・今の自分も、仕事が集中できない時は、どんな気分の時だろうか?

と、想像することによって、まずはお子さまの気持ちを理解し、共感することができますよね。

共感することができたら、お子さまも「自分の気持ちをわかってくれた」という気持ちになり、
本音を話してくれて、上手くコミュニケーションが取れ、
お互いが望む解決策を見出しやすくなるでしょう。

お子さまにも想像する癖付けを

このように、相手に共感するためには想像をしなくてはいけません。
ですからお子さまにも、今のうちから想像する癖付けをしておくと良いでしょう。

たとえば、絵本の読み聞かせなどで、

「この時、この人はどんな気持ちだったんだろうね?」

と、質問を投げかけてみると良いですね。

お子さまに人の気持ちを想像させ、親御さんは一緒に考えてあげましょう。

絵本や何か教材などで、想像させるのももちろん良いですが、
やはりリアルな人間関係で想像させるのが、より良いですね。

習い事や保育園などの集団に所属し、そこでの、お友達や先生たちとの会話を題材に想像させてみましょう。

ひょっとしたら、

「今日、●●ちゃんがムカついた!」

というような否定的な話が出てくるかもしれません。

もちろん親御さんとしてはお子さまの意見をまずは共感し、
その後、

「●●ちゃんはどうしてそんなことをしたんだろうね?」

という、相手の立場になることを想像する機会も与えてあげましょう。

すると、お子さまにとっても、

・新しい発見が出てきたり、
・相手の立場に考えることができるようになったり、
・想像する癖付けができるようになり、

自然と共感力が鍛えられ、コミュニケーション能力が高くなっていくでしょう。

これからの時代に大切な協働力のメインは、コミュニケーション能力です。
コミュニケーション能力の基本は共感力であり、共感力を鍛えるためには、想像する癖付けをすることです。

ぜひ、親子の会話の中で、想像する機会を増やしていきましょう。

続きはこちら第6回:バランスの取れた優秀な医者になるための12のスキル